「肝心要(かなめ)」とか「ここが話の肝(きも)です!」とか、肝臓にまつわる言い回しをよく耳にしますよね。このことからも、肝臓が凄く大切な臓器であることがわかります。
しかし、いざ「肝臓はどんな働きをしているのか?」と質問されても、答えるのはなかなか難しいのではないでしょうか?人間にとっても、猫にとっても凄く大切な臓器、肝臓の病気について調べました。
肝臓の働きについて
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることがあります。我慢強い臓器、ということですね。肝臓は機能的に余力が高く、再生能力が高い臓器です。そのため、損傷などがあっても症状が現れにくく、症状が出たときにはかなり進行していることも多いのです。
肝臓は次のような働きをしています。
- 【代謝機能】体に取り入れた栄養素は胃や腸で消化吸収されて肝臓に送られます。肝臓はそれらを体のそれぞれの部位にあった形につくりかえて、それぞれの臓器や血液に送ります。
- 【分泌機能】消化を助ける胆汁(たんじゅう)を分泌します。
- 【解毒機能】体内に取り入れてしまった有毒物質などを分解して無毒化します。人間に対するアルコールなど。
- 【貯蔵機能】食べ物から取り入れたエネルギー源を貯蔵しておき、必要なときに全身に送ります。
- 【血液凝固機能】血液凝固に関わっている「凝固因子」を作っています。
上記の5つの機能を見ると「肝心要」とか「ココが肝です!」の意味がよく分かりますね!肝臓は体にとって本当に重要な役割を果たしてくれているのです。
肝臓病の典型的な症状
肝臓に炎症が起きたり、細胞が壊れたり、細胞に脂肪がたまりすぎるなどの原因で、本来の働きができなくなることを肝臓病と言います。ただ、肝臓は「沈黙の臓器」です。早期発見は難しい病気です。
一般的な肝臓の病気は「慢性肝炎」と呼ばれます。そして、それが進行して、肝炎の最終段階で肝細胞がなくなって繊維細胞に置き換わってしまった状態を「肝硬変」と言います。
肝硬変になると、肝機能は不全状態(肝不全)で骨と皮だけのような外見になってしまいます。治癒はしません。漢方薬などで若干の延命が可能です。
次に挙げるような症状が猫に見られたら、すぐに動物病院に連れていって血液検査を受けさせてあげてください!
- 食欲がない
- 嘔吐
- 白目や歯茎が黄色くなる(黄疸)
- よく水を飲み、よくおしっこをする
- 元気がない
- 体重が落ちる
- イヤなにおい(腐敗臭)がする。【要注意です!】
※「肝リピドーシス」という猫特有の肝臓の病気があります。
飼い主にできること
一般的な肝臓の病気である慢性肝炎の原因としては、普段の食生活によるものが圧倒的です。
人間が食べる塩分の多いおかずの肉、魚主体のフードや半生フードの食べ過ぎなどで慢性肝炎になる例が多いです。肥満も大きな要因のひとつです。
慢性腎不全のページでもお話しましたが、「塩分」は体の小さい猫にとって本当に大敵です。塩分の取り過ぎや肥満は、飼い主が気を付けることで防いであげることができるはずです。
食事中に猫が食卓の上に乗ってきて、可愛い目をクリクリさせて「くれ!くれ!頂戴!!」と言ってきても、断固とした態度で拒否するのが本当の優しさというものなのです!
【参考記事】当事者になったつもりで、読んでみてください。
>>「ペットの治療費ってこんなに高額なの?10万、20万は当たり前。」
>>「猫の医療費に備える!ペット保険加入のメリット・デメリット」