猫がグッタリとして体全体で呼吸をしている。寝るときに横にならなくなった。このような状況のときに疑われる病気があります。
それは膿胸(のうきょう)という病気です。
膿胸とは?
「膿」という字は「うみ」のことですね。膿胸(のうきょう)とは、文字通り膿が胸に溜まってしまう病気です。
人間にしても猫にしても胸には胸郭(きょうかく)という樽のような部分があります。胸郭の中に肺や心臓が収まっているわけですね。
肺は2つの膜で覆われています。その2つの膜の間を胸腔(きょうくう)と言います。胸腔には少量のリンパ液が溜まっています。これは胸水(きょうすい)と呼ばれていて、肺が胸郭の壁にこすれて傷つかないように、潤滑油のような役目を果たしています。
胸膜に炎症が起きると胸腔内の胸水が増えて、膿のように溜まってしまうんですね。これが膿胸です。
症状は?
最初のうちは、発熱や食欲・元気の低下といった症状が見られます。ただしこれらの症状は気づきにくく、見過ごしてしまうことが多いんですね。
しかし胸腔内に溜まる膿が多くなってくると、息が荒くなり呼吸困難に陥ってしまいます。横になると胸腔内が膿により圧迫され、痛みや苦しさが増すため、横にならずうずくまり、胸部を圧迫しないような姿勢をとります。可哀想ですよね。
咳や脱水、チアノーゼなどが起こることもあります。一刻も早く動物病院に連れていかなければならない状況です。
原因は?
膿胸の原因はさまざまです。
- 事故や猫同士のケンカなどによるケガが引き金になるケース
- とがったものなどの異物誤食
- 肺炎など呼吸器の病気により胸膜に細菌が感染
いずれにしても猫の命に関わってしまいます。すみやかに病院に連れていってあげてくださいね。
治療方法
病院では胸腔内からできるだけ膿を抜き取ることと、酸素吸入などで呼吸状態を改善する治療が行われます。
猫の状態が安定しているなら、ドレーンと呼ばれるチューブを通して胸腔内に溜まる膿を排泄して洗浄します。
その他にも原因となっている細菌に対しての抗生剤の投与や、輸液、食事療法などさまざまな治療が行われます。
高い治療費
ある飼い主の方の例です。
一番最初の処置は、血液検査・レントゲン・ウイルス検査・胸水を抜く処置・抗生剤注射などで合計8万円。
抗生剤の注射は1回1万円とちょっと。1週間の薬代は薬5千円。治療が長期に及んでしまい注射はかれこれ25回くらい、薬も毎日続けています。
こんな感じで現在まで約50万円の治療費がかかってしまい、飼い主の方も凄く困っておられます。
いかがでしょうか?
動物病院の治療費は、人間のように3割負担という訳にはいきません。飼い主の全額自己負担になってしまいます。
私はこんな状況に少しでも備えておきたいと思って、初めての病気なら治療費の8割を補償してもらえるペット保険に入っています。