猫が腎不全にかかると、最初に現れるのは
- 水をたくさん飲む
- オシッコをたくさんするようになる
いわゆる、多飲多尿と呼ばれる症状です。腎不全が疑われる猫を動物病院に連れていくと、血液検査と尿検査を受けることになります。
その際、飼い主も是非知っておきたい、3つの検査項目について説明します。
腎臓の働き
検査項目の数値が何を意味しているのかを理解するためにも、腎臓がどんな仕事をしているのか、だいたいで構わないので知っている必要があります。
腎臓は血液からオシッコを作る臓器です。仕事は2段階に分かれています。
- 1段階目:血液中の老廃物をろ過して大量の原尿を作る。
- 2段階目:原尿から必要な水分を再吸収して、濃縮された尿を作る。
猫が慢性腎不全にかかると、最初に尿を濃縮する機能に問題が出ます。尿を濃縮する機能が低下するということは、濃い尿が作れなくなる、つまり薄い尿が大量に出るということです。そして、ゆっくりとこの病気が進行するうちに、血液をろ過する能力にも支障が出るようになります。
病院での検査
まず猫のお腹を触って、腎臓の大きさを調べます。腎不全にかかると、腎臓が小さくなり、正常ならなめらかな腎臓の表面がデコボコになることが多いのです。
また、首の周りの皮膚をつまんで伸ばしたり、口の中の濡れ具合を調べます。これは脱水していないかどうかをチェックしているのです。
こられの状況を数値で確認するために、血液検査と尿検査を受けることになります。
血液検査
血液検査には、とても多くの検査項目があります。腎臓病のチェックが目的であれば、特に重要なのは次の2つです。
- 血中尿素窒素(BUN)
- クレアチニン(Cre)
この2つは、いずれも老廃物です。血液中の老廃物がきちんとろ過されて捨てられているかどうかを、間接的に把握する指標なのです。これらの数値が高ければ、血液中の老廃物がうまく捨てられていないかもしれないという疑いがあります。
尿検査
尿検査にも、多くの検査項目がありますが、腎不全に関連するという意味では「尿比重」の項目が最も重要です。尿比重とは尿の濃さを表す数値です。
脱水が起きているというのは、体が水分を必要としているのに、尿からどんどん水分が捨てられている状態です。すなわち腎臓の濃縮機能がちゃんと働いていないことを意味しています。
余分に捨てられている尿は濃縮されていないため、ほとんど色が付いていないような薄い色の尿が大量に出ます。このような場合は、尿比重は基準値よりも低い数値を表しているはずです。
まとめ
慢性腎不全の検査において飼い主が特に知っておきたい項目は、血液検査のBUNとCre、尿検査の尿比重の3項目です。
なお、腎不全の初期の段階では、BUNやCreといった血液検査の項目の数値には異常が現れません。ですから、実際の現在の腎臓の状態を知るためには、必ず尿検査を受ける必要があります。