ある男性の飼い主のお話です。10才のメス猫を飼っています。
最近、猫が水をたくさん飲みすぎるのです。今まで夏の暑い日でも、こんなに飲むことはありませんでした。加えてダラーっとしていることが多くなりました。食事は摂るのですが、元気がないように見えるのです。
疑われるのは腎臓病と糖尿病
猫が水をたくさん飲むのは、好ましいことでもあるのですが、それも程度によります。あまりにも大量に水を飲むということであれば、それは病気の兆候です。
考えられる病気は腎臓病と糖尿病です。どちらも恐ろしい病気です。
腎臓病
猫は腎臓の病気がとても多く、特に老齢では慢性腎不全を発症することが多くなります。
腎臓は血液から必要のない老廃物だけを取り出して、尿として体から排泄する役割を担っています。しかし、腎臓が悪くなると老廃物を取り出せないうえに、必要な水分やたんぱく質まで尿の中に出ていってしまいます。
そうすると体は脱水状態になり、水をたくさん飲むようになります。また栄養も失われて痩せてきますし、だんだんと食欲が落ちて元気がなくなってくるのです。
糖尿病
糖尿病の原因は様々で、遺伝や体質、他の疾患の併発などがあり、はっきりとした原因は特定されていません。毎日の食事内容や肥満なども関係していると言われています。
糖尿病になると、血液中の過剰な糖分が尿から出ていきますが、その際に水分も引っ張られるようして一緒に出ていってしまいます。そのため多飲多尿という症状が見られるようになります。
また血液の中は糖分で溢れていますが、細胞の中には入ってこないため栄養にはなりません。よって次第に痩せていきますし、食欲も落ちてしまいます。
腎臓病にしても、糖尿病にしてもそのまま放置すれば命にかかわります。しかし、軽度であれば通院しながらの治療が十分に可能な病気なのです。
少しでも早く動物病院へ
- 水を大量に飲む
- 痩せてきた
- 食欲がない
- 元気がない
このような猫の体調のちょっとした変化に飼い主が気づいたならば、少しでも早く迷わず動物病院に連れていってあげてください。
まずは血液検査を受けることになります。
ただし、血液検査で異常が見つかった場合は、腎不全が相当に進行している状態であることが多いのです。そこで本当に腎機能に問題がないかどうかを調べるためには、同時に尿検査をしなければなりません。
もちろん糖尿病の検査でもこの2つは必要です。費用は血液検査が5,000円くらい、尿検査は2,000円くらいが相場だと思います。検査の結果、慢性腎不全、あるいは糖尿病にかかっているということであれば、治療を受けていくことになります。
慢性腎不全なら脱水症状を改善するための点滴と食事療法。糖尿病ならインシュリンの注射といった治療になります。どちらも最初は入院を伴いますので最低でも50,000円くらいの医療費がかかります。
さらにこれらの治療はある程度継続する必要があります。月々20,000円くらいの医療費がかかってくると思います。もちろん早期に発見して、早期に治療を開始した方が、医療費の負担が軽くなるのはまちがいありません。