嘔吐を繰り返す猫ちゃんがいます。「猫はよく吐く」動物。とはいっても、嘔吐の回数の多さに飼い主も心配していました。
そうするうちにさらに心配なことが。ドロドロの嘔吐物に血が混じるようになったのです。慌てて動物病院に連れていってみると・・・
診断の結果は食道炎
獣医師の診断の結果は食道炎でした。食道炎とはどのような病気なんでしょうか?
食道炎とは?
食道の働きを一言でいうと、口から入った食べ物を胃に送り込むこと。筋肉を収縮させて蠕動運動(ぜんどううんどう)をすることによって、食べたものを移動させます。
猫は四本足の動物ですから、食道は水平方向。蠕動運動がうまくできなければ、つらいことになってしまいますよね。
食道炎とは文字通り、食道に炎症が起こった状態です。
炎症というのは、有害な刺激に対する体の防御反応。熱を持ったり、赤く腫れたり、痛くなったりというのが一般的な症状になります。
食道炎の症状
自分に置き換えて想像してみるとわかりやいですよね。
- 食道に痛みがあるから、食べ物を飲み込んでもすぐに吐き出すようになる。
- 唾を飲み込むのがつらく、何度も唾を飲み込もうとする。
- 唾を飲み込むことができず、よだれを流す。
- 食べ物を飲み込みづらくなり、飲み込むときに痛みで声をあげる。
- 嘔吐物に血が混じる。
食べ物を普通に食べることができない。生き物にとって本当に辛い症状になります。
原因
人間でも例えば、熱すぎるスープを慌てて飲み込んでしまったとき、食道を熱いものがゆっくり通り過ぎるのを感じることがありますよね。
同じようなことでも体の小さい猫にとっては、人間よりも大きなダメージを受ける危険があるわけです。
- 熱いものを食べてしまった。
- 先のとがったものを食べてしまった。(鳥や魚の骨など)
- 誤って薬品のような刺激物を口にした。
- 異物誤飲
などが食道を傷つける原因として考えられます。
極端な話、飼い主が良かれと思って与えた錠剤が食道炎の原因になっていた、という例まであるのです。
病気が原因の場合
食道炎の原因は外傷だけではありません。
胃炎や膵炎、あるいは感染症などの病気が原因で、何度も嘔吐を繰り返し、逆流した胃液で食道の粘膜がただれて炎症を起こすこともあります。
飼い主にできること
「最近、猫の食事のペースが遅いな」とか「食べにくそうにしてるな」とか、異変を見逃さないことが大切です。
嘔吐物に血が混じっているとなるとさらに心配。病院に直行してあげるべきです。その際は血が混じった嘔吐物をビニールに入れて持っていくと、診断もスムーズに進むでしょう。
食道炎は酷くなると、食道狭窄(きょうさく)や巨大食道症といった大きな病気に発展する可能性もあります。
食道狭窄は食道が狭くなってしまい食べたくても食べられない病気。
巨大食道症は、食道に食べ物がたまってしまい胃に送ることができなくなる病気。
そんなふうになる前に、早め早めに動物病院に連れて行ってあげてください。