猫はよく嘔吐する動物です。うちの猫もヒックヒックとえづいたあと、胃の内容物を勢いよく床に吐くことがあります。
嘔吐したからといっても、たいていの場合はそんなに心配する必要はありません。ですが例えば赤い血が混じってたりしたら、病気のサインの可能性もあります。
猫はよく嘔吐する動物だからと、安易に考えて異変を見過ごすことがないようにしてあげなくてはいけません。
大丈夫な嘔吐と心配な嘔吐がある
猫は人間よりも嘔吐する頻度が高いです。様子を見ても良い大丈夫な嘔吐と、すぐに病院に直行するべき心配な嘔吐があります。
なぜ人間より猫の方がよく嘔吐するのか?
猫がよく嘔吐するのは、モノの食べ方に理由があります。
人間の場合は小さい頃から親や学校の先生に「よく咬んで食べなさい」と教わりますよね?よく咬んで食べることを、少し難しい言葉でいうと咀嚼(そしゃく)するといいます。咀嚼することによって消化を助けて、より栄養を摂ることができるようになります。
対して猫は咀嚼をあまりしません。基本、丸飲みなのです。たとえ水が無くても、食べ物をどんどん飲み込んでしまいます。
人間なら例えば水なしで薬を飲むだけでも、のどに引っかかって「おえっ!」とえづいて、無理だと思ったら飲み込む前に吐き出します。
猫の場合はとりあえずどんどん飲み込んでしまうのです。飲み込んでしまってから「ヤバい!」と気づくから嘔吐することが多くなるんですね。
大丈夫な嘔吐
たんなる吐き戻し
食欲旺盛な猫が餌を勢いよくガツガツ食べるのを見て「おいしそうに食べてるな♪」と嬉しい気持ちで見ていたら、そのあとすぐ今食べたものを全部吐いてしまってガッカリということがよくあります。
これは慌てて食べたものが消化されずに吐き出されただけ。嘔吐したあとにケロッとしていつも通りの元気があれば、それほど心配する必要はありません。
液体を吐く
朝方(寝起き)に白い泡のような液体や、黄色い液体を吐くことがあります。多くの場合、白い液体は胃液で黄色い液体は胆汁(たんじゅう)です。
空腹が原因のことが多いので、食事の量を少なくして回数を増やすなどの工夫をしてみてください。
よくあることではありますが、あまりにも頻繁に見られるのなら動物病院での受診をおすすめします。
毛玉や草を吐く
猫は本当によく毛づくろいをします。暇さえあれば(いつも暇ですがw)体中を器用にペロペロペロペロ。あれだけ舐めていると、やはり毛を飲み込んでしまうことも多いです。
飲み込んだ毛が胃に溜まると毛玉として吐き出すことがあります。毛玉が胃に溜まる量が多くなったりすると毛球症の原因になりますから、むしろ吐き出したほうが良いのです。
いわゆる猫草を与えるのも、とがった葉がチクチクと胃の中を刺激して、飲み込んだ毛玉を吐き出しやすくするのが目的です。
嘔吐物の中に草や毛玉が混じってても、吐いた後に元気がないとか体調が悪そうとかいう様子が無ければ、特に心配する必要はないでしょう。
ただしこれも程度問題。あまりにも頻繁に見られるようなら動物病院で診てもらったほうが良いですね。
猫の邪魔をしない
猫が嘔吐したら、汚れた床やカーペットを飼い主が掃除しなければなりません。この掃除が面倒だからといって、吐こうとしてヒクヒクえづいている猫の邪魔をするのはNG。
毛玉は吐き出さないとかえって病気の元になってしまいます。ちゃんと吐かしてあげてくださいね。
心配な嘔吐
激しい嘔吐を何度も繰り返したり、吐いたものの中に血液が混ざっていたりしたら、明らかに体の異変を示しています。
食道や胃や腸などの消化器系の病気や、感染症、何か毒性のあるものを食べてしまった結果の中毒症状など、さまざまな原因が考えられます。
また嘔吐物に寄生虫が混じっていたり、便臭がしたりする場合も危険。便臭がするのは腸閉塞を起こしている可能性があります。
いずれにして凄く危険ですし、素人ではどうしようもありません。できるだけ早く動物病院で診てもらった方がいいです。
吐こうとするのに吐き出せない
吐こうとしているのに何も吐き出せなかったり、大量のヨダレを垂らしている場合は異物誤飲が考えられます。もしそうなら時間が経てば経つほど消化器へのダメージが大きくなってしまいます。
猫の命を守るために迷っているひまはありません。動物病院に直行してあげてくださいね。
このように猫がよく嘔吐するのは、肉食動物特有の習性です。しかし習性だからと安易に考えてばかりではいけません。大丈夫な場合と心配な場合の知識をもって、様子の違いを見分けられるように気を付けてあげなくてはいけませんね。