老猫に多いのが口内炎です。食べたいのに食べられない。猫にとっても飼い主にとっても、本当に辛い状況です。
今まで、たくさんの癒しや幸せを与えてくれた大切な猫のために、最後までできるだけのことをしてあげなくてはいけません。
このページでは口内炎にかかった老猫のために、飼い主が家でしてあげられることを調べました。
口内炎の症状
口内炎になると、口臭が強くなり常によだれを垂らすようになります。よだれはネバネバしていて時には血が混じっていることもあります。
また口を「くちゃくちゃ」させることが多くなります。よだれのため、口の周りや前足がいつも汚れてしまい、口から臭いにおいが漂うようになります。
口の中の粘膜や歯肉が真っ赤に腫れて、ただれ(びらん)や潰瘍、出血が見られます。激しい痛みを伴うため、食べたいけれど食べられない状態となり、食欲が無くなり、体重も減少してきます。
口にできるのは水だけ。このような状態が続くと、猫は急速に元気がなくなり、栄養失調や脱水症状の危険も出てきます。
口内炎ができる原因
猫がなぜこのような慢性難治性口内炎になるのか、はっきりとした原因はまだ解明されていません。考えられる原因は次のようなものになります。
- 歯に歯垢や歯石が付き、そこに付着して増殖していく細菌が口内炎を起こす
- 猫ウイルス性鼻気管炎や猫カリシウイルス感染症といったウイルス感染が口内炎を引き起こす
- 猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスの感染による免疫力の低下
- 老化による免疫力の低下
- 腎不全によって尿毒症になると、唾液中のアンモニア濃度が高くなり口腔内がただれ、口内炎を起こす
子猫の頃から栄養バランスのとれた食事を与え、かつ、食後の歯の手入れを習慣づけ、歯垢・歯石が歯にたまらないように心がけてあげましょう。缶詰よりも固めのカリカリの方が、歯垢・歯石はつきにくいです。
猫の免疫力を低下させるウイルス感染症を予防するためのワクチン接種も重要です。
家でできる処置について
猫はもともと凄くきれい好きな動物です。ベタベタなよだれがグルーミングで全身についてしまい、異臭がしているような状態は本当にかわいそうです。温タオルで全身をきれいに拭いてあげましょう。
口内の消毒はオキシドールを使います。オキシドールは2~3倍に必ず薄めてください。薄めたオキシドールを脱脂綿に含ませて、口の中のただれている箇所を拭いてあげましょう。(刺激になるので、驚くほどよだれを出してしまう場合もあります。)
餌の食べさせ方について
口内炎による激しい痛みで、老猫は餌を食べたがらないでしょう。しかし、何とかして食べさせないとどんどん衰弱してしまいます。
スポイトを使う方法が一番オススメです。動物病院で入手できる流動食や自家製のスープなどを、スポイトで口角(口の両わき)から歯と頬の隙間に流し込んであげます。流し込んだら猫の喉を両手で押さえて、しばらく口先を天井に向けておくと「ゴクッ」と飲み込んでくれます。
自宅でできる対処法はここまででしょう。後は一刻も早く動物病院で診てもらって、信頼できる獣医さんと相談することです。
あなたの猫が早く元気になられることを心から祈っています。
豆知識:動物病院での治療
いずれにしても動物病院での治療が必要になります。完治を望むのは難しく対処療法(原因となる疾患そのものを制御するのではなく、表面的な症状の消失あるいは緩和を主目的とする治療方法)になります。
- 口腔内の細菌増殖を抑えるため消毒液を使った洗浄
- 細菌をたたく抗生剤、炎症を抑える消炎剤
- 免疫力を抑制し、過剰に起きている炎症を抑えるステロイド剤(注射や軟膏)
- 痛みの緩和と抗ヒスタミン効果がある抗うつ薬を使用
- 免疫力を調整するインターフェロンで細菌やウイルスの増殖を抑制
- 炭酸ガスレーザーを照射することにより悪い組織を除去し、新しい組織の再生を促す
- 全て抜歯する
信頼できる獣医さんとしっかり相談なさった上で、猫の苦痛を一番軽減できる方法で治療を受けさせてあげてください。
【参考記事】当事者になったつもりで、読んでみてください。
>>「ペットの治療費ってこんなに高額なの?10万、20万は当たり前。」
>>「猫の医療費に備える!ペット保険加入のメリット・デメリット」