以前、「さくら」というメス猫を飼っていました。神経質な猫で、皮膚の気になるところを舐めたり、引っかいたりするのがやめられず、その部分が脱毛して血がにじんでいる状態でした。動物病院で渡された「エリザベスカラー」を付けている姿を、今でもよく覚えています。
猫の皮膚炎は、軽く考えてはいけません。放置すると、あっという間に全身に広がってしまうケースまであるのです。皮膚炎の原因は実に多種多様です。猫がかゆみに苦しんでいるから、皮膚が荒れているからといって、自己判断で市販の薬を使用するのはかえって症状を悪化させることもあり危険です。必ず動物病院で獣医の治療を受けさせてあげてください。
このページでは猫の皮膚炎のさまざまな原因をまとめました。動物病院で獣医の説明を聞く前の予備知識にして頂ければ幸いです。
皮膚炎の原因
皮膚炎とは、文字通り「皮膚が炎症を起こしてしまっている状態」のことです。皮膚が何らかの刺激を受けてかゆみや脱毛、発疹といった症状があらわれている状態を総称して皮膚炎と呼んでいます。
さまざまな原因が考えられます。
寄生虫
やはり皮膚病の原因となる一番多い寄生虫は、ノミやダニです。ノミやダニは猫の血を吸うときに、自分の唾液を皮膚の中に注入するという恐るべき習性を持っています。これがかゆみ、発疹といった皮膚炎の原因になる訳です。
他にも、ヒゼンダニやニキビダニは皮膚の下や毛根に住みつきます。特に猫の耳の中にミミヒゼンダニが繁殖した「耳疥癬」と呼ばれる皮膚炎は、放置すると猫の耳が無くなってしまうほどの強烈な症状を引き起こします。
細菌、真菌(しんきん)
皮膚が傷ついてしまったり、皮膚の抵抗力が落ちていたりすると、そこに細菌が感染して炎症を起こすことがあります。重症の場合はジュクジュクと、皮膚の表面が化膿してしまうこともあります。(膿皮症)
また、真菌とはカビの一種です。イメージしやすいところでは、人の水虫がこれにあたります。猫が真菌に感染すると、フケとかさぶたを伴った脱毛が起こります。それ自体にかゆみは無いのですが、猫がかさぶたを引っかいたり舐めたりすることで、二次的に細菌感染を引き起こしジュクジュクした炎症が現れるケースが多くあります。
アレルギー
アレルギーとは、さまざまな「異物」に対して体が過剰に反応して、炎症などが起こしてしますことです。猫のアレルギー性皮膚炎の原因は次のようなことが考えられます。
- 【食餌性】フードの中のタンパク質によるアレルギー
- 【接触性】食器の素材やシャンプーなどによるアレルギー
- 【吸入性】花粉やハウスダスト、ほこり、イエダニなどによるアレルギー
そして、アレルギー性皮膚炎は激しいかゆみを伴います。
- 激しく体をかきむしったり、噛んだりすることによって脱毛が生じてしまう。
- 引っかいた傷や舐めた唾液により、細菌感染を引き起こしジュクジュクした炎症が現れる。
このようにどんどん悪循環に陥ってしまうのが、アレルギー性皮膚炎で多く見られるパターンです。
その他の原因
他にもいろいろな原因が考えられます。
- ストレス(心因性皮膚疾患、神経性皮膚病)
- 腫瘍・紫外線(扁平上皮癌、日光皮膚炎)
- ホルモン異常(副腎皮質機能亢進症)
猫はかゆみを我慢するということができません。気になって一箇所を集中的に舐める、または足の爪でかきむしるということをくり返してしまいます。
気が付いたときには脱毛して傷になってしまう。体液が染み出て、ジュクジュクと不衛生な状態になる。さらに気になるから、かきむしる・・・というふうにどんどん悪循環に陥ってしまいます。
猫の皮膚に異常の兆候が現れたら、早め早めに動物病院に連れて行ってあげてください。
【参考記事】当事者になったつもりで、読んでみてください。
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