ヘルニアとは、内臓や脂肪が本来のあるべき位置から、別のところへ飛び出してしまった状態のことを言います。あまり聞いたことがないかもしれませんが、ヘルニアは猫もなります。
生まれつきの場合もありますが、交通事故や落下事故などの強い衝撃によって発症することが多いです。そういった強い衝撃が原因で、猫がなりやすい2つのヘルニアをご紹介します。1つは横隔膜ヘルニア。もう1つは腹壁ヘルニアです。
横隔膜ヘルニア
横隔膜とは胸腔(きょうくう、胸の中)と腹腔(ふくくう、お腹の中)の境目にある筋肉の膜のことです。呼吸に関係しています。
交通事故や落下などで、強い衝撃を受けた際に横隔膜が破れ、その裂け目から本来は腹腔にあるべき腸や肝臓などが、胸腔内に押し出された状態を横隔膜ヘルニアと言います。
飼い主が気づいてあげられるポイント
もっとも気づきやすいのは、猫の呼吸に現れる変化です。横隔膜ヘルニアになると、肺が圧迫されますので、猫の呼吸が荒く速くなるのが特徴です。遊んだり、走ったりしたあとでもないのに、口を開けてハアハア息をしていたら要注意です。
他にも
- 寝るときも横になろうとしない。
- 体を丸めず座った姿勢で寝る。
- 姿勢を変えず、動きたがらない。
- 腸の位置がずれることによる、食欲不振や嘔吐。
といった症状が見られます。
治療法は?
治療法は外科手術しかありません。胸腔内に飛び出した内臓を本来の位置に戻して、破れた横隔膜を縫い合わせるのです。
時間が経つほど、横隔膜の修復は難しくなります。猫が強い衝撃を受けたり、呼吸や姿勢が気になる場合は、すぐに動物病院に連れて行ってあげてください。
腹壁ヘルニア
交通事故や落下、また去勢前のオスのノラ猫同士の激しいケンカなどが原因で、腹壁の一部が破れ、そこから内臓や脂肪が皮下内に飛び出した状態を腹壁ヘルニアといいます。
特徴としては
- お腹の皮膚の一部が飛び出て見える。(傷口から何かが出ている。)
- 横になりたがらない。
- 急に吐くようになった。
- 急に下痢をするようになった。
横隔膜ヘルニアにしても、腹壁ヘルニアにしても、事故や落下、ケンカなどの強い衝撃を受けたことが原因になります。室内飼いの猫にだって、これらのリスクはあります。
飼い主がこういった知識を持つことは大切です。そして猫に何か異変があったならば、すぐに動物病院に直行してあげてください。
参考記事>>猫の臍(さい)ヘルニア