猫の病気やケガを、無制限に果てしなく補償してくれるペット保険は存在しません。そんな保険を販売していたら、会社は潰れてしまいますよね。
補償には必ず制限が付くものなのです。「限度額」や「回数制限」という用語が使われます。詳しく解説しながら、ペット保険の選び方のヒントをお届けします。
「限度額」と「回数制限」についての解説
ペット保険の最大手、アニコム損保の「ふぁみりぃ70%プラン」を例にして解説します。
プランの補償内容は、以下のとおりです。
【補償割合】
動物病院での治療費の70%を補償
【補償限度額】
通院、入院の場合は1日あたり最高14,000円まで
ただし、1年間に利用できる日数は通院、入院ともに各20日まで
手術の場合は1回あたり140,000円まで
ただし、1年間に利用できる回数は2回まで
補償割合とは、要するに「かかった治療費の何%が補償されるのか」をあらかじめ設定したパーセンテージのことです。
例えば10,000円の治療費がかかったなら、7,000円補償されるということですね。
アニコムの場合は、通院、入院ともに「1日あたり最高14,000円」までと限度額が設定されています。そして、年間に利用できるのは各20日までと、回数制限がセットで設定されています。
1日14,000円の通院補償ってどうなの?
一般的な治療にかかる費用の平均値を調べてみました。(あくまでも目安です。)
- 初診料 1,200円
- 再診料 620円
- 時間外診療 1,700円
- レントゲン検査(1枚) 4,000円
- 尿検査 1,500円
- 糞便検査 1,500円
- 血液検査(一般項目) 5,600円
- 心電図検査 3,000円
- エコー検査 5,000円
- 細胞診検査 4,800円
- 病理組織検査 10,000円
- 細菌検査 2,500円
- 注射料 1,200円(薬剤費別途)
- 点滴料 皮下点滴 3,000円(薬剤費別途)
- 静脈点滴 4,000円(薬剤費別途)
- 指導料 260円
- 処方料 500円
- 調剤料 250円
- 処置料 投薬・点眼 200円
- 外用薬塗布 600円
- 包帯・ガーゼ交換 960円
もちろん、毎回ここに挙げた全ての治療費が、かかる訳ではありません。1日14,000円というのは、結構手厚い補償だと思います。
ただし、ここでネックになるのが回数制限です。通院は年間20日までに制限されています。
例えば、治療費が1,000円(700円補償)しかかからなかったとしても、「1日」とカウントされてしまいます。残りの13,300円を別の日に持ち越すことはできないのです。
猫は高齢になると、腎臓病、心臓病、ガンといった治療が長引く病気にかかりやすくなります。「年間20日まで」という回数制限は、あまりにも短すぎると言わざるをえません。
1日14,000円の入院補償ってどうなの?
調べたみたところ、猫の1泊の入院費の相場は2,500円程度です。入院中にいくつかの処置をするとしても、1日14,000円の補償は必要ない場合も多いのではないかと思います。
入院にも「年間20日まで」という回数制限が設定されています。例え2,500円しかかからなくても「1日」とカウントされてしまう訳ですから、すごく効率が悪いシステムだと思います。
オススメの保険は?
ペット保険を選ぶときに、私がまずオススメするのは、年間の通院、入院、手術の「補償の総合計額(トータル金額)」に限度額が設定されているタイプの保険です。このシステムだと、上記で説明した「効率の悪さ」が解消されます。
私が加入しているペッツベストは、補償割合80%、年間の最高補償額が100万円までと決められています。(1つの病気に対する最高補償額は50万円まで。)この年間限度額を超えない限り、1日の限度額や、年間の回数制限はありません。
猫が将来、大きな病気にかかってしまい、長期の治療や高額な治療費が必要になったとき、このシステムの方が頼りになると考えて加入しました。あなたのペット保険選びの参考にして頂ければ幸いです。
【参考記事】当事者になったつもりで、読んでみてください。
>>「ペットの治療費ってこんなに高額なの?10万、20万は当たり前。」