猫がかかる可能性がある感染症はいくつかありますが、その中でも猫白血病ウイルス感染症はたいへん危険です。詳しく見ていきましょう。
猫白血病ウイルス感染症の症状について
このウイルスは唾液、尿、涙液、母乳、血液そして胎盤を介して感染します。とくに唾液に多く含まれており感染力も強いです。ですから他の猫と同居させる場合は注意が必要です。なめられたり、じゃれたり、けんかをしたり、食器の共有などでも感染します。他の猫と同居させる場合は、部屋を完全に分ける、大きなケージで完全に囲うなど、いっさいの接触を断つ飼い方が重要になってきます。
感染しても長期間発病しないこともあり、免疫力が強ければ治ってしまうこともあります。しかし、発病すればほとんどが亡くなってしまう恐ろしい病気です。
感染初期に全身のリンパ節の腫れと発熱が起こります。持続感染となると、ウィルスの直接作用によるリンパ腫や白血病などの血液の腫瘍、貧血や腎炎、免疫力の低下から他の感染症の併発を起こしたりする病気です。
残念ながらウイルスを直接退治する治療法はありません。発病すると回復は望めないため、対症療法で苦痛をやわらげながら病気の進行を遅らせる治療が主になります。 抗癌剤の治療や、その他、インターフェロン(※下部に説明あり)や抗生物質の投与等、症状に応じた治療を行うことになります。
ストレスを取り除くことも病状の進行を遅らせる要因となりますので、快適な環境を心がけてあげましょう。優しく接してあげるのが、飼い主にできる一番の看護です。
この病気はワクチンで予防することができます。しかし副作用の危険性が指摘されてもいます。血液検査を受け陰性であることを確認した上で、信頼できる獣医師とご相談ください。特に猫を外に出す飼い方をしている場合は必要性が増します。
インターフェロンとは?
インターフェロンはウイルスに感染した時にそれを壊す為に 元々体内で作り出されるたんぱく質の一種です。
細胞の表面には必要な時に(ウイルスに感染したとき等)、インターフェロンがくっつくことができるレセプター(受容体)があります。インターフェロンはレセプターと結合することでウイルスの攻撃に備えるのです。
インターフェロンはレセプターと結合することでウイルスを破壊する酵素を誘導したり、ウイルスの増殖に必要なたんぱく質を作れないようにしながらウイルスを退治します。
つまり、インターフェロンがウイルスを直接やっつけるという訳ではないのです。 体内で作られる量では全然足りないので体外から人工的に作ったインターフェロンを投与して補充します。それがインターフェロン治療です。