貧血の改善にはレバーが効果的。人間の場合なら確かにそうでしょう。しかし猫の貧血の原因はさまざま。重い病気の兆候であることも少なくありません。
貧血とは?
貧血とは、血液中の赤血球の数や、赤血球の主成分であるヘモグロビンの量が減った状態のことをいいます。ヘモグロビンの働きは酸素を全身に運ぶことです。したがって猫が貧血になると、臓器や組織が低酸素状態になって、次のようなさまざまな良くない症状が現れます。
- 疲れやすい。
- 肌・粘膜が白くなる
- 呼吸や心臓の鼓動が速まる
- 唇や舌が紫色になる(チアノーゼ)
人間の貧血は大半が鉄分不足
人間の場合なら、貧血の90%は鉄欠乏症貧血だと言われています。特に女性は、生理や妊娠、出産などで鉄を失う量が多いため貧血になりやすいのです。
失った鉄は食べ物から補うしかありません。ですから、貧血のときはレバーやほうれん草を多く摂れば良いという話になる訳です。これは、あくまでも人間の場合です。そのまま猫に当てはまる訳ではありません。
猫の貧血の多くは病気が原因
猫は人間と違って、病気が原因で貧血になる場合が多いのです。もちろん鉄分の不足が原因になる場合もあるのですが、それは猫の貧血のごく一部の原因でしかありません。
病気が原因で貧血になっているのなら、いくらレバーをたくさん猫に与えても症状は改善されません 。食事を変えてみたけれど貧血が改善しない。その場合は、食事の問題ではなく、臓器や器官の問題なのかもしれません。
猫が貧血になる原因は、次のようなことが考えられます。
- 事故などで大量に出血した。
- 溶血(赤血球が寿命が来るまえに壊れる)を伴う病気にかかり、大量の赤血球が失われた。
- 骨髄の病気にかかり、赤血球が十分に作られなくなった。
- 猫白血病ウイルス感染症
- 猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
- 悪性腫瘍
- 内分泌系の病気
また、猫が老齢になると腎臓や肝臓の働きが低下します。その結果、赤血球を作る能力が衰え、赤血球の寿命も短くなるため、猫は一層貧血を起こしやすくなります。
このように、一口に貧血といっても、いろいろな原因が考えられるのです。原因にマッチした治療が必要になります。もちろん、この判断は獣医師にしかできません。しかし飼い主自身も、ある程度知識を持っておくと、医師の話をより理解しやすくなります。
猫の貧血は重い病気の兆候であることも少なくありません。早め早めの動物病院での診察が必要になります。
【参考記事】当事者になったつもりで、読んでみてください。
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