脱水症状とは単に体内の水分量が不足しているだけの状態ではありません。普通の水を大量に与えてしまう対処法では、かえって猫の状態を悪くすることもあります。
猫の脱水症状についてまとめました。
どんな症状?
猫が脱水症状になると、次のような体の不調に陥ります。
- 猫の首の周りの皮膚を軽くつまんでも、なかなか元に戻らない。
- 目が落ち窪む。
- 血圧の低下。
- 毛がバサバサと毛羽立って、やせて弱ってしまう。
- 消化管の血流が減ることにより、食欲不振が起こり、元気がなくなる。
- 脳の血流が減ることにより意識混濁が起こる。
- ナトリウムイオンなどの電解質が不足して、体液が濃い部分を薄め、薄い部分を濃くしようとする細胞の浸透圧が維持できなくなる。
- カリウムイオンやカルシウムイオンなどの電解質が不足すると、神経や筋肉に悪い影響が出てきて、脚がつったり、しびれや脱力が起こる。
※3の補足
体から水分が失われると、血液の量が減り、血圧が下がる。すると肝臓や消化器といった臓器を巡る血液量が減り、必要な栄養素を配ったり、不要な老廃物を排泄したりする能力がダウンする。
脱水症状の対処法
脱水が軽ければ猫を日陰に移動させ、水分を口に含ませます。ただし普通の水を与えると、電解質のバランスが崩れ症状が悪化することがあります。次のような溶液を作ってあげてください。
- 一度沸騰させた水1リットル
- 砂糖40g
- 塩3g
- レモンやグレープフルーツなどの果汁を搾って加えるとカリウムの補給の効果あり
人間用のスポーツドリンクを与える場合は1.5~2倍に薄めて口に含ませます。猫が自力で水を飲むことができない場合は、スポイトやシリンジで口に垂らしてあげます。
重症の場合は、一刻も早く動物病院での処置が必要です。脱水症状は命に関わる危険もあります。もちろん病院へ行くまでに、上記のドリンクを少しずつ与えてください。
脱水症状の原因
脱水症状を起こしてしまう原因としては、以下のような病気が考えられます。
- 熱中症
- 感染症
- 腎炎
- 急性腎不全
- 下痢(長期間続く場合)
- 嘔吐(長期間続く場合)
猫の命に関わる脱水症状。決して軽く考えてはいけません!
熱中症による脱水症状の場合は、まず上記の対処法のドリンクを与えてください。それでも改善しない場合は、早めに動物病院に連れていって、獣医師に診てもらってください。
その他の病気による脱水症状の場合は、事態はより深刻です。一刻も早く動物病院に駆け込むことが大切です。
脱水症状に関する豆知識
脱水症状とは、体内の水分が正常値以下に減少した状態を指します。ただし、脱水症状に陥ったときに失われるのは水分だけではありません。電解質も同時に失われた状態なのです。
電解質とは簡単に言えば、ポカリスエットなどのスポーツドリンクに入っている成分のことです。例えば、汗をかくとその影響で電解質の1つであるナトリウムが不足します。
つまり水分の喪失と同時に電解質も喪失してしまうため、十分な水分と同時に十分な塩分を補給しなければならないのです。ニュアンスとしては「脱水症状」というよりも「脱塩水症状」といったほうが近い感じですね。
電解質とは?
電解質は「イオン」とも呼ばれていて、細胞の浸透圧を調節したり、筋肉や神経の働きに関わるなど、身体にとって重要な役割を果たしています。
ポカリスエットなどのスポーツドリンクのテレビCMで「イオンサプライ」とか「体に素早く吸収される」という表現をよく耳にしますが、これは電解質(イオン)が細胞の浸透圧を調節するという意味なのです。
それにしても今年の夏の暑さは本当に異常ですよね。人間より遥かに体が小さい猫。熱中症による脱水症状のリスクには、くれぐれも注意が必要ですね。
【参考記事】当事者になったつもりで、読んでみてください。
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