「目は口ほどにものを言う」ということわざがあります。
猫ほどものを言う目をもった動物はいません。そのクリクリとした目で豊かな感情を余すところなく語ってくれます。
そんな猫が目を病んでいるのは見るに堪えないですよね。猫の失明原因の第1位の眼病である緑内障について調べました。
猫の緑内障とは?
猫も人間も、ものが見える仕組みは同じです。
角膜・水晶体を通って網膜上で結んだ像の情報が、眼球から脳に向かって延びている視神経に入り、脳に色や形の情報を送るのです。伝わった情報が脳で画像として組み立てられて見えたものを認識します。
猫の緑内障では、その情報の橋渡しをしている視神経に異常が起こり、眼からの情報を正確に伝えられず、脳で画像をうまく組み立てることができなくなります。その結果、視力や視野に障害を起こしてしまいます。
原因と症状
眼球の中には血液の代わりとなって栄養などを運ぶ房水(ぼうすい)という液が流れています。
眼球そのものは軟らかいものなので、球形を保つには内部から外側に向かう一定の力が必要です。それを眼圧(がんあつ)と呼んでいます。
たとえばボールでは空気がその役割を果たして、空気圧によりボールの硬さが左右されますが、眼球では眼球内を流れる房水の量が眼圧を左右しています。
緑内障とは、房水が通常より多くなり、眼圧が高まることによって網膜や視神経が影響を受け、視野が悪化した状態なのです。
次のような症状が現れます。
- 瞳孔が開きっぱなしになる
- 目が大きく見える
- 目の色が黄色や緑に変色
- 眼球突出(牛眼)
- 角膜炎や結膜炎
- 目を痛そうにしばしばさせる
- 視野の狭まり
- 失明
ブドウ膜炎という眼の疾患から続発する場合が多い
房水が多くなり眼圧が上昇する原因としては、房水の産生量の増加よりも流出量の低下が一般的です。房水の流出量の低下は、猫の場合はブドウ膜炎という眼の疾患からの続発として起こることがほとんどです。
猫のブドウ膜炎とは、眼球のブドウ膜に炎症が生じた状態を言います。
ブドウ膜とは虹彩(こうさい)、毛様体(もうようたい)、脈絡膜(みゃくらくまく)など血管に富んだ膜の総称です。それぞれ次のような機能を果たしています。
- 虹彩は眼球に入る光の量を調整する絞り
- 毛様体はその絞りを調整する筋肉
- 脈絡膜は眼球や網膜に酸素や栄養を与える補給部隊
猫のブドウ膜炎の原因としては、主に次のようなものが考えられます。
- ウイルス(猫伝染性腹膜炎ウイルスなど)、細菌、真菌、原虫(トキソプラズマなど)、寄生虫(ハエウジ症や回虫の幼虫など)などによる感染症
- 猫白血病ウイルス感染症、猫エイズウイルス感染症、腫瘍、角膜炎、結膜炎、水晶体の病変(脱臼・ぐらつき・融解)、歯周病などの病気
ブドウ膜炎、緑内障といった目の病気は、放置すると、最悪失明に至ってしまいます。少しでも猫の目に不安な症状が現れたら、早め早めに動物病院に連れていってあげてください。
【参考記事】当事者になったつもりで、読んでみてください。
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