「猫の耳の形はどうしてあんなに可愛いんだろう♪」猫好きなら皆、思っていることでしょう。
そんな最大のチャームポイントである猫の耳に、黒い耳垢が大量に発生してしまう病気があります。
耳垢の発生だけでなく、かゆみのために爪で激しく引っかいたり床にこすり付けたり。その結果炎症を起こしてしまい、耳全体が赤く腫れあがってしまうケースまであるのです。
考えられる原因は主に2つです。
1つ目の原因:耳ダニ
耳ダニとは?
耳ダニとは、猫や犬などいろいろな肉食動物の耳の中だけに生息する小さなダニのことです。「耳疥癬(みみかいせん)」とか「耳ヒゼンダニ」とも呼ばれます。
大きさは0.2~0.3ミリくらいですから、肉眼でも見ることができます。耳の分泌物や耳垢などを餌にして、耳の中で一生を過ごします。想像すると、少し怖いですよね。
同居猫に感染してしまう
耳ダニは驚くほど高い感染能力を持っています。1匹の猫に耳ダニが見られたら、その猫の生活環境には卵や幼虫がたくさん散らばってるということ。ですから必ずと言っていいほど同居猫にも感染してしまいます。
動物病院には全員連れて行かなくてはいけません。そうしないと1匹が治ってもまた他の猫が・・・というようにキリが無くなってしまうからです。
症状
とにかく激しいかゆみがあります。そのため猫は、むしょうに頭を振ったり、爪で耳を強く引っかいたり、壁や床に耳をこすり付けたりします。
それが原因で皮膚を傷つけてしまい、ジュクジュクした外耳炎や皮膚炎につながることもよくあります。
そして外耳道には、耳ダニの死骸やフン、卵などが混ざった黒っぽいカサカサした耳アカがたまっていきます。
耳ダニの数が多いと、耳アカが耳から溢れそうなくらい大量に発生することもあり、激しいかゆみに猫は悩まされます。
かゆい→かきむしる→さらに酷い状況と、どんどん悪循環にハマっていくのです。
2つ目の原因:マラセチア
マラセチアとは?
マラセチアとは真菌(カビ)の一種で、その中でも酵母菌と言われるものに属しています。
「酵母」って聞いたら、結構良いイメージを持っているのではないでしょうか?例えばパンを作るときに活躍するイースト菌も酵母の仲間。
酵母は栄養分となる有機物を利用して分裂しながらグングン成長していきます。この状態が発酵ですね。パンや味噌、納豆などの発酵食品は、酵母の成長が良い結果をもたらしてくれる例です。
逆にマラセチア性外耳炎は、酵母の成長が悪い方に働いた例と言えますね。
普段は悪さをしない
マラセチアは正常な猫の皮膚に普通に存在していて、普段はまったく悪さをすることはありません。ですが脂っぽかったり、ジメジメ湿ってたりといった環境になると、栄養分を取り入れてどんどん増殖いていくのです。
また猫の免疫力が落ちているときも繁殖しやすく、それによってマラセチアが原因となる外耳炎や皮膚炎を引き起こします。
症状
マラセチア性外耳炎の症状を一言でいうと、水虫に悩む人間みたいな感じですね。水虫もマラセチアと同じ真菌の仲間なのです。猛烈なかゆみに悩まされるのは人間も猫も同じこと。
爪でかき続けることによって耳の皮膚を傷つけ細菌が感染したり、炎症によって耳が赤く腫れあがってしまったりと、どんどん悪循環にハマっていってしまいます。
耳が垂れている猫がかかりやすい
マラセチア性外耳炎は、耳の中がジメジメして湿っぽい状態のときに起こりやすくなります。
そういう意味でスコティッシュ・フォールドやマンチカンといった、耳が垂れている種類の猫はかかる危険が多いと言えます。
またアレルギー体質の猫も、もともと皮膚の抵抗力が弱いので、この病気にかかりやすいですね。マラセチアも立派なアレルギーの原因になってしまうということです。
まとめ
猫が耳をかゆがる、黒い耳垢が溜まるといった症状が見られたら、耳ダニやマラセチアが疑われます。
これらが原因の外耳炎はもちろん厄介です。しかし猫にとってそれ以上に可哀想なのは、かゆくて爪でかきむしることによって二次的に細菌感染を起こしてしまい、耳全体が痛々しく腫れあがってしまうような状態です。
大事になる前に動物病院に連れていってあげてくださいね。