ある飼い主(Aさんとします)の引っ越しのときのエピソードです。
Aさんは自分が飼っている子猫を連れて、叔父叔母夫婦の家に引っ越しました。叔父叔母夫婦は、15歳のオス猫(太郎)と9歳のメス猫を飼っています。
皆さん猫が好きなんですね。微笑ましいです(笑)。しかし、ここで問題が発生。
太郎がAさんの部屋に入ってくると、首筋を床にこすり付けてニオイ付けをしていくようになり、太郎が先に部屋にいてAさんがあとから入ろうとすると「シャーッ」と威嚇してくるのです。
太郎は体も大きく威嚇されると怖いし、自分の部屋なのに太郎のおかげでリラックスできないのも腹立たしく感じてしまうAさん。
Aさんが連れてきた子猫も落ち着きをなくし、変な鳴き声を上げたり走り回ったりしています。
叔父叔母夫婦に相談しても、笑って終わりにされてしまいました。
このページでは室内飼いの猫の縄張り意識について考えてみます。
家猫にとっての縄張りとは?
室内飼いの家猫にも縄張りの意識はあります。縄張りとは、猫がほかの猫に入ってきて欲しくない「自分だけのエリア」と感じるところ。
家猫の場合、一番リラックスできる寝床を中心に、家の中のすべてと窓から見える庭やベランダまでが縄張りになります。
仲の良い猫同士は縄張りのすべてを共有できますが、仲が悪い猫同士は、縄張りの中心だけは基本的に相手に侵入させません。
野生時代、猫は群れを作らず一頭で暮らしていました。体が大きいわけでもなく外敵も多い猫は、心配性で猜疑心が強い生き物。
だから猫は変化を嫌います。
- 昨日大丈夫だった道を今日も通る。
- 昨日気持ちよく眠れた場所で今日も眠る。
このように猫は「昨日と同じ」「明日も同じ」を好むのです。習慣に従って生きるライフスタイルが、強い縄張り意識を生むと言えます。
太郎の立場で考えてみると・・・
Aさんも叔父叔母夫婦も、みんな猫好きで優しい方たちですよね。でも太郎の立場になって考えてみると・・・
15歳ともなれば、もう何年もずっと家全体が自分の縄張りだと思ってる訳です。Aさんは「自分の部屋なのに」と言ってますが、太郎にとっては「Aさんの部屋」も、長いことずっと自分の縄張り。
「よそ者が僕の縄張りに入ってきた!イヤだなぁ!落ち着かないなぁ!」と思うのも無理のない話ですよね。
Aさんが連れてきた子猫にとっても環境の変化は大きなストレスでしょう。慣れ親しんだ居場所が急に変わってしまった上に、見たことのない大人猫2匹と同居することになった訳ですから。
考えられる対策は?
まずAさんが太郎にとって「危害を加えない、安全な人」だとわかってもらうことが大切ですよね。
- 最初は空気のような存在に徹する。
- 慣れてきたら、そっとさわってみる。
- 好物を指に塗って与えてみる。
といった段階を踏んで少しずつ距離を縮めていけば、太郎もきっとAさんを同居人として認めてくれると思いますね。
子猫も最初のうちは食事やトイレの部屋を分けてあげれば、そのうち新しい環境に慣れてくれるでしょう。
参考記事>>「人見知りの猫と仲良くなれたこの方法」