ヘモバルトネラ症(ヘモプラズマ感染症)という恐ろしい貧血について

「貧血」は人間の女性にだけ起こるわけではありません!猫だって貧血になるんです!

ただし、ヘモバルトネラ症(猫伝染性貧血)は大変恐ろしい病気です。猫に少しでも貧血の症状が見られたら、すぐに動物病院へ連れていってあげてください!

※この病気はヘモプラズマ感染症と呼ばれることもあります。

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そもそも「貧血」とは

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血液中の赤血球が、さまざまな理由により不足している状態のことを貧血と言います。

血液は、血球成分と血漿(けっしょう)成分から成っています。そのうちの血球成分を構成しているのは、赤血球・白血球・血小板の3種の血球であり、割合は赤血球96%、白血球3%、血小板1%です。

血球成分のほとんどを占めている赤血球は、骨髄の赤芽球という前駆細胞から作られます。ここで作られた赤血球は、血流に乗って全身を巡り、体中の組織に酸素を運ぶという役目を果たしています。この役目を果たせるのは、赤血球のなかに酸素と結びつく性質をもったヘモグロビンがあるためです。

ところが病気などの理由により、この赤血球の数が減少してしまう場合があります。赤血球数が少ないと、体に十分な酸素を送り届けることができません。すると、さまざまな体調不良に陥る貧血状態を引き起こすのです。

貧血のつらさの正体は、体中に酸素がうまく運ばれない「酸欠状態」です。脳が酸欠になると、失神や、立ちくらみ、目眩など、立っていられない状態になります。心臓が酸欠になると、息切れ、動悸、胸痛など、息苦しさを感じます。筋肉が酸欠になると、肩こり、だるさ、疲れやすくなる、など肉体的な疲労を感じます。

人間と同じことが猫にも言える、ということですね。

ヘモバルトネラ症(猫伝染性貧血)とは?

ヘモバルトネラ症(猫伝染性貧血)は、ヘモバルトネラ・フェリスという赤血球表面に寄生する病原体の感染が原因で貧血を起こす病気です。猫同士のケンカなどによるかみ傷や、ノミ・ダニなどの媒介から感染すると言われています。ヘモバルトネラ・フェリスは猫の体内に侵入すると、血液の赤血球に付着します。

本来であれば、抗体は寄生虫のみを敵と認識するべきなのですが、ヘモバルトネラ・フェリスは赤血球に寄生しているので正しく判断することができません。そのためヘモバルトネラ・フェリスが寄生した赤血球も抗体の攻撃対象となり、結果、破壊されてしまいます。また、古くなった赤血球を破壊する臓器である脾臓によって壊される場合もあります。

このような経緯で赤血球が減少してしまい、貧血を起こしてしまうのです。次のような症状が見られます。 

  • 元気や食欲がなくなる。
  • 歯茎が白くなる
  • 呼吸が速くなる(苦しそうに呼吸する)
  • やせる
  • 黄疸によって尿が濃い黄色になる
  • ※脾腫

重症化すると命を落とす危険もあります。疑わしければすぐに動物病院へ連れて行きましょう。

※脾腫とは・・・
脾腫(脾臓の腫大)はそれ自体は病気ではありませんが、ほかの病気の影響によって起こります。脾臓が腫れた場合、お腹が目に見えて膨れてしまいます。さまざまな病気が脾腫の原因となり、原因を突き止めるには、慢性感染症から血液のがんまで幅広い病気を念頭に置く必要があります。

動物病院における治療法、予防法

動物病院では、抗生物質の投与が行われます。症状に応じて点滴や輸血が必要になることもあります。

ヘモバルトネラ症は、治療によって症状を回復させることはできても、病原体を完全に退治することはできません。そのため猫は生涯保菌者となり再発する可能性があります。とはいえ、いったん回復すれば再発せずに生涯を終える猫がほとんどです。

ヘモバルトネラ症には、現在、確実な予防法はありません。ノミやダニの予防・駆除剤の定期投与などで感染を抑えたり、猫同士のケンカをできるだけ避けるような飼育方法(避妊・去勢手術、室内飼育など)をとることで、ある程度予防できると考えられています。


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