最近肥満気味の猫のお腹をさわると、やたら大きな塊がたくさんある。巨大結腸症かもしれません。巨大結腸症は猫の慢性便秘の原因として多く見られる病気です。
カチンコチンの便が、結腸の出口で固まって出なくなってしまっているのです。猫にとってはすごく辛い状態です。一刻も早く、動物病院へ連れていってあげてください!
便が腸にたまってしまう
猫の巨大結腸症とは、大腸の一部である結腸(けっちょう)と呼ばれる部位の収縮力が弱まり、滞留した便が結腸を押し広げてしまった状態を言います。便の溜まった結腸が風船のように膨らんでしまい、猫にとって非常につらい病気です。
結腸に慢性的に便がたまると、時間の経過とともに便の水分が吸収され非常に硬くなり、排泄されづらくなります。その結果たまった便によって結腸が伸ばされ、結腸が動かなくなる「結腸無力症」という状態になります。
結腸に便がたまりやすくなる原因としては、偏った食事や生活環境、肥満、結腸の神経異常、脊髄疾患、腸管や肛門の狭窄(きょうさく、すぼまって狭いこと)、交通事故等による骨盤骨折、腸管内外の腫瘍による圧迫、異物などによる通過障害などがあります。
次のような症状が見られます。
- 1日に何度もトイレへ行く
- 下剤や浣腸でもなかなか改善しない「重症便秘」
- 下腹部のコリコリとしたシコリ
- 食欲不振
- 嘔吐
- 毛づやの悪化
動物病院での治療
便を軟らかくするために緩下薬の投与や便を軟らかくする食事を与え、症状によっては定期的な浣腸や指で肛門から便をかき出す処置が行われます。その他に、嘔吐をしている場合は吐き気止めの投与、脱水している場合は点滴などの治療も行います。
内科的治療で症状が緩和されない場合は、便が詰まって拡張した結腸部分を切除する結腸切除術や、狭い骨盤腔を拡げる骨盤腔拡大手術など外科的治療が行われます。
飼い主にできること
骨盤腔の広さや肥満などがこの病気の発症と関連があるといわれています。
子猫のときから栄養バランスの良い食事を与え、よく遊ばせ、日光浴をさせるなどして、丈夫な骨格の成猫になるように育ててあげましょう。猫の肥満は飼い主の責任です。「結局、苦しむのは猫」ということを肝に銘じて肥満猫にさせないように普段から気を付けてあげましょう。
また、猫が気分よく排便できるように、普段から猫のトイレを清潔に保つことも発症予防につながります。