保護した猫を「家で飼う」と決めて動物病院に連れていって診てもらったところ、「猫エイズ」に感染していることがわかった。先住猫がいる場合、いっしょに飼ってあげることはできないのでしょうか?
感染猫との接し方
「猫エイズ」は一度感染すると完治することはなく、有効な治療法もありません。発症した場合は対症療法が中心になります。 人間のエイズに似た症状を示しますが、全く違う病原体であり猫から人間に感染することはありません。
「猫エイズ」という病名の響きがとても絶望的に聞こえてしまいますが、大多数の猫は発症しないまま「無症状キャリア期」を維持し、通常の(もしくは少し短め)の寿命を迎えることができます。 要は、発症さえしなければ普通の猫と同じように、ずっと健康に過ごすことができるのです。
ですから、たとえ感染していたとしても悲観したり、ましてや見捨てたりしないであげてくださいね。 ただ、不幸にして発症してしまうと進行性の免疫不全状態に陥り、口内炎や鼻炎、結膜炎、下痢、皮膚炎などの症状が現れるようになります。
さらに貧血やがん(悪性腫瘍)、日和見感染(健康なときには感染症を起こさない弱い細菌やウイルスなどの病原体が原因で発症する感染症のことをいい、何らかの状態で免疫力が低下した時に生じてくる疾患の総称)を引き起こし、体重も減少し衰弱して亡くなってしまいます。
猫エイズはストレスが発症の引き金になってしまう、と言われています。ストレスの少ない生活をさせてあげて、栄養バランスのとれた食事を与えてあげましょう。優しく接してあげるのが、飼い主にできる一番の看護です。
なお、猫エイズの検査はやはり動物病院で血液検査をしてもらうのが一番安心でしょう。検査費用は病院によって本当に様々です(3,000~10,000円)。かかりつけの動物病院で確認することができます。
先住猫と同居させる場合
先住猫と同居させる場合は、感染しないようにそれなりの注意が必要です。 猫エイズのウイルス自体の感染力はとても弱いものです。グルーミング(お互いに舐め合って毛づくろいしあう行為)などで感染する可能性は低いとされています。
猫エイズは基本的には、猫同士のケンカなどによる「かみ傷」から感染します。それも本当に激しいケンカ、それこそ取っ組み合いをして血だらけになってしまうようなケンカでもしない限り感染することは少ないのです。
ですから過度に神経質になる必要はないと思います。 ケンカを防止する意味でも、家で飼っている全ての猫たちに去勢・避妊手術を受けさせておくことは非常に大切です。去勢したオス同士で流血するまでケンカをするということはまずないでしょう。
たとえ猫エイズに感染していても発症さえしなければ、他の猫たちとまったく同じように元気で過ごすことができます。「感染」と「発症」は本当に別物なのです。そして「発症」してしまう大きな要因として「ストレス」が挙げられます。
ですからどうか猫エイズに感染しているからといって差別したり偏見を持ったりしないで、他の猫と同じように可愛がってあげてください。あくまでも私の考えですが、自分が外出するときはケージに入れて隔離、それ以外はある程度自由で良いのではないかと思います。
実は私の家にも1匹猫エイズに感染している猫がいます。 「ガーさん」という名前のオス猫です。 もう随分長く、何年もうちにいますが、他の猫とまったく同じように元気に暮らしてますよ!
猫エイズの症状緩和を期待できるサプリメント
不幸にも猫エイズを発症させてしまった猫は、しつこい口内炎に悩まされることになります。痛みのあまり食事ができなくなってしまうこともあります。
この深刻な口内炎の症状を改善する働きを期待できるサプリメントにはプロポリス、ユッカインテンシブ、ササヘルスなどがあります。また口内炎の痛みで食事ができない猫の栄養補給にはヤギミルクが役に立ちます。
その他にも、免疫力を高めるサプリメントとしてアガリスク、キトサンなどが知られています。