7年ほど前の冬の朝、コンビニの入り口で茶色の子猫を拾いました。鼻水と目やにとよだれで顔中クシャクシャになっていました。今にして思えば、まさしく猫風邪の症状でした。その時の子猫は、今では立派に成長して、気が強くてわがままな美人猫になっています・・・
「風邪は万病の元」といいますが、猫風邪は人間の場合より、はるかに深刻な症状に陥ることが多い病気です。重症化すると脱水症状が起きて激しく衰弱したり、肺炎につながることもあります。
猫風邪はウイルスの複合感染
人間の風邪も猫の風邪も、単一の病原体に感染して起こることは稀です。いろいろな病原体の複合感染によって起こることが多いのです。猫風邪の症状を特に悪化させるウイルスは、次の3種類です。
- ヘルペスウイルス
- カリシウイルス
- クラミジア
感染した場合の病名は、それぞれ「猫ウイルス性鼻気管炎」、「猫カリシウイルス感染症」、「猫クラミジア感染症」といいます。
ただし、これらについてはワクチンがありますので、接種することによって症状を予防あるいは軽減することができます。
感染経路
感染経路としては、感染猫の咳、くしゃみ、鼻水、目やに、唾液、便などから直接的、あるいは間接的に感染します。
間接的とは、たとえば飼い主が外で他の感染猫に触ったとか、感染猫が使っているものに他の猫が触れたといった場合です。
主な症状
猫風邪の主な症状は次のとおりです。
- 鼻炎によりくしゃみを連発したり、粘液や膿性の鼻汁が出る。
- 結膜炎で瞼(まぶた)がはれぼったくなる。
- 涙、目やにが大量に出る。目が開かなくなることも。
- 目の不快感が強いと目をこすって角膜を傷つけることもある。
- せき(しゃっくりするような感じ)や声がれ
- 口内炎、舌炎で口の粘膜や舌に潰瘍ができることがある。
- 大量のよだれが出ることがある。
- 口臭
- 発熱
- 元気、食欲の消失
- 脱水症状
体力がない猫は特に危険
上記の風邪の症状は、病原菌を体から追い出そうとして、猫の免疫システムが正常に働いている結果という側面もあります。しかし、子猫や老猫、他の感染症(猫エイズや白血病)にかかっている猫などの場合、体力や免疫力がないため症状が悪化しやすく、亡くなってしまうこともあります。
また、症状が改善して、一見治ったように見えても、慢性化して後で再発したり、慢性鼻炎として症状が一生涯継続することも稀ではありません。
飼い主がしてあげられる対処法
上記のように、猫風邪は「風邪ひき」といった軽いイメージとはかけ離れた、重い症状に陥る場合が多くあります。早め早めに動物病院に連れていってあげることが大切です。
家でしてあげられる対処法としては、保温と安静、食事と給水がポイントです。特に食事は食べにくかったり食べられない場合もあります。普段食べているフードをすり鉢ですりつぶしたりして食べやすくしてあげましょう。それを少しずつ、あるいはシリンジなどを使って強制的に与えるなどして、栄養状態を悪化させないように気を付けてあげてください。
脱水症状対策にポカリスエットなどをうすめたものをシリンジで与えるのも良い方法です。
猫風邪の治療費の目安
病院や猫風邪の種類、重症度によって異なりますが、およそ診察料で数千円、1週間分の薬代で数千円~1万円ほどかかります。
また、もし入院になった場合は1日5,000円、血液検査が必要となった場合は1万円ほどかかると想定しておく必要があります。初診の場合は初診料が数千円~1万円ほどかかりますので、ご注意ください。
動物病院でかかる費用は決して安くありません。必要があればペット保険も検討してみてはいかがでしょうか。
【参考記事】当事者になったつもりで、読んでみてください。
>>「ペットの治療費ってこんなに高額なの?10万、20万は当たり前。」
>>「猫の医療費に備える!ペット保険加入のメリット・デメリット」