「猫にまたたび、お女郎に小判」ということわざがあります。大好物のたとえ。また相手の機嫌をとるのに一番効果のあるもののたとえです。
こういうことわざが生まるほど、猫はまたたびが好き、ということなのでしょうか。しかし使い方を誤れば、猫にとって危険性を伴うこともあります。
私自身は、今まで猫にまたたびを与えたことはありませんでした。知っているようで、あまり知らなかったまたたびのこと。このページでは、またたびについて詳しく調べていきます。
そもそも、またたびとは?
またたびは、山地に自生する落葉のツル性の植物です。やや湿り気のある日陰を好みます。
6~7月頃に葉が半分くらい白または淡橙色に変化し、2cm程の梅の花に似た白く芳香がある花を下向きにつけます。花の終わる頃に葉はもとの緑にもどります。
またたびがつぼみの頃か、花が開く直前に、花の中心の子房に「マタタビノアブラムシ」という小さな昆虫が産卵します。卵を産み付けられた子房は、正常な果実になれず異常な発育をし、亀の甲の様な姿をしたデコボコの虫こぶ状のものになります。これを虫癭果(ちゅうえいか)といいます。
この虫癭果には通常の実よりもネコ科の動物に作用する有効成分が多く含まれていて、またたびとしての効能が高いことが知られています。漢方では、熱湯殺虫してから天日乾燥させた虫癭果を「木天蔘(もくてんりょう)」と呼び利用されています。
なお、通常の実は、3cm程の楕円形のどんぐりのようなもので、熟すと橙黄色になります。
またたびの作用とは?
猫はまたたびの匂いを嗅いだり食べたりすると、とてもリラックスした状態となり、転げ回ったり、身体をこすり付けたり、気持ち良さそうにゴロゴロしたりといった、恍惚状態(フレーメン状態)になります。
これは、またたびの葉、茎、実に含まれている揮発性のまたたびラクトンとアクチニジンとβ-フェニルエチルアルコールという3つの成分が、猫の神経を刺激したり麻痺させたりして、一種の性的快感を覚えさせているといわれてます。
ちなみにまたたびの効果の強さは、粉末→液体→実→枝→葉の順になります。
またたびは猫によって反応に差があり、特に子猫や妊娠中の雌猫はあまり興味を示さない場合があります。雌猫よりも雄猫の方が、一般的に反応があるといわれますが、その中でも一部去勢を行った猫はあまり反応しないこともあります。
また、猫科のトラやライオン、ヒョウなども同じような反応を示します。
またたびの名前を由来
またたびの名前の由来は、アイヌ語の「マタタムブ」からきたというのが、現在最も有力な説です。「マタ」は「冬」、「タムブ」は「亀の甲」の意味で、おそらく果実を表した呼び名だろうと言われています。
また、疲れた旅人がまたたびの果実を食べたところ、再び旅を続けることができるようになったということで「又旅」から名付けられたという説もあります。
与えすぎは危険を伴う
またたびを嗅ぐとネコ科の動物は、恍惚状態、いわゆるハイな状態になります。これはまたたびに含まれている成分が猫の大脳を麻痺させ、眠気を引き起こし、運動中枢やせき髄などの反射機能を鈍らせることで起こります。強い常習性や副作用はなく、持続性もないので通常はすぐに興奮からさめて普通の状態に戻ります。
しかし、年齢を重ねた猫や、心臓が弱い猫だと、刺激が強すぎる為、かなり体に負担をかけることになります。麻痺が重度になると呼吸困難になり、最悪の場合死に至る場合もあるのです。
くれぐれも与えすぎは避けるべきです。どうしても与える場合は、「少量ずつ」を厳守すべきですね。
どのような目的で使用するのか?
またたびは一般的に、次のような目的で使用されています。
- 爪とぎ板に塗って、爪とぎのしつけに使用する
- 言うことを聞かない猫をおびき寄せる時に使用する
- ストレスでいらだっている猫をなだめるのに使用する
- 元気がなくイライラしている時に少量を与える
- 病気ではないのに食欲が減っている時に、食事に粉末を混ぜて与える
- 猫にたくさん水を飲ませたいときに使用する
- またたびの木をかじらせて、歯磨きのかわりに使用する
またたびによって恍惚状態になっている猫の動画をユーチューブを見ました。あくまでも私個人の感想、意見ですがあまり良い印象は持てませんでした。言い方は悪いですが「動物虐待」という言葉まで浮かぶほど、異常に見えました。
「食欲がない」とか、「野良猫を保護したい」とか、「どうしても水を飲ませたい」とか、切羽詰まった理由があって、やむを得ず使用するのは理解できます。
しかし、「面白い」とか「猫がフニャフニャして可愛い」とか、そういったふざけた理由で使用するのは、私の感覚ではとても考えられません。
参考>>ペットの治療費の事例集