猫の出産に際して、自然分娩で元気な子猫を産んでほしいというのが飼い主の願いです。しかし何らかのトラブルから、お腹を切って子猫を取り出す帝王切開が必要になることがあります。
帝王切開が必要になるとき
次のようなとき、お腹の赤ちゃんはもちろん、母猫も命にかかわる状態になるため帝王切開の決断をする必要があります。
陣痛が1時間以上続いても産まれてこない場合
普通なら陣痛が始まると、風船状の羊膜に包まれた子猫が外に出てきます。母猫が息むと、子猫は風船に守られて産道を通過してきます。胎盤もその風船の後に続いて出てきます。母猫が一生懸命舐めることによって、羊膜が破れ(破水)子猫が外に出てきます。生命の誕生の瞬間です。
しかし子宮収縮によって羊膜が破れ、破水したにもかかわらず、1時間以上経っても産まれてこないケースがあります。子猫は産道で止まってしまっていて、窒息などの恐れがあり危険な状態です。
オリモノ、出血があって、しかも予定日に陣痛が来ない場合
出産前の1週間ほどの間に陰部からのオリモノや出血があった場合には、注意が必要です。オリモノ、出血がある場合は、子猫がお腹の中で死亡している可能性があります。そして、その子が産道近くにいた場合は、邪魔をして第2子、3子は出てこられなくなります。このような場合も帝王切開が必要なケースです。
難産の原因は?
帝王切開が必要になるほどの難産になってしまう原因は、次のようなことが考えられます。
胎子が大きすぎて母猫の産道を通過できない。1匹だけが異常に大きく成長してしまったり、奇形によって胎子の体の一部が異常に大きくなってしまった場合などです。また、胎児が尾から出てくる逆子の場合も難産の可能性が高くなります。
母猫の骨盤が胎児の大きさよりも明らかに小さいため、胎児が通過できないという状況もあります。
動物病院での事前検査が大切
出産日から1週間位前に動物病院でレントゲンやエコー検査で子猫の状態を診てもらいましょう。産まれてくる子猫の数は必ず把握しておくべきです。
また、逆子であったり、大きすぎたりといった、何か普通とは違うことがある場合、それを担当の獣医師と共有した上で事前によく相談することが大切です。獣医師の判断で、最初から帝王切開を勧められるケースもあるでしょう。
自宅で出産に望む場合でも、予想外の難産に見舞われることがあるかもしれません。出産は夜から早朝にかけてが多いため、深夜に緊急の状態に陥るケースが非常に多いです。
時間外でも診察してもらえるような、もっと言えば、例え夜中でも母子が危険であれば帝王切開の手術をしてもらえるような、そのような信頼関係を普段から獣医師と築いておくことできれば安心です。
このページのまとめ
猫の出産は基本的には自然に任せるべき。確かにそうです。しかし予想外の難産で、母子を助けるために帝王切開が必要になるケースがあることは知っておきましょう。
そのようなときのために、普段から獣医師と信頼関係を築いておきたいものです。