「猫の手も借りたいほど忙しいのです。できれば手伝って頂きたいのですが!」
うっかりこのような使い方をなさっていませんか?この使い方のどこがいけないのでしょうか?解説しますね。
相手に直接言うと失礼にあたる
「猫の手も借りたい」とは、猫でもいいから手伝ってもらいたいほど、多忙で人手不足である状況を嘆く(あるいは喜ぶ)ことわざですね。
人間の役に立ちたいと思っているような、純真なイメージがある犬ではなく、手先は犬より器用そうに見えるものの、人間のために働こうという意思がまったく見えない猫を選んだところがおもしろいですよね。
しかし、この「猫の手も借りたい」ということわざは「誰でもいい」という意味合いを含みます。つまり、面と向かって相手に直接言うと失礼にあたるのです。
「おかげさまで猫の手を借りたいほどの忙しさで、嬉しい悲鳴をあげているところです。」というように、状況説明でとどめておいたほうが無難ということですね。
「猫の手も借りたい」の類義語
他の言い方や言い回し、類義語としては・・・
- 忙しい
- 大忙し
- 多忙な
- 繁忙な
- 慌ただしい
- 仕事に追われる
- 多忙を極める
- きりきり舞いの
- てんてこ舞の
- 目が回るような
- 手が回らない
- 手いっぱい
- いっぱいいっぱい
- てんやわんや
それにしても、てんやわんやの状況のときに猫の手を借りてしまったら、余計にてんやわんやになってしまいますよね!
例えば、目が回るような忙しさの中で、愛猫の寝顔を見ると、フッと心が軽くなる。結局猫の仕事は、人間に癒しを与えることなんだと、私は思います。(笑)
英語では?
英語では次のように表現します。
猫の手も借りたいほど忙しい。
We are very busy and short-handed.
猫の手も借りたいくらいだ。
We are so busy we’ll take any help we can get.
収穫期の農家は猫の手も借りたいほど忙しい.
Farmers are very busy and short‐handed at harvest‐time.
やはり、相手に直接「手伝ってください」とは言ってませんね。その辺りの機微は、日本語でも英語でも同じなのでしょう。
昔は「犬の手」だった?!
実はあまり知られていませんが、こんなことわざもあります。
「犬の手も人の手にしたい」
これは、「猫の手も借りたい」と同じ意味をもつことわざです。江戸の中期から明治の終わり頃までは「猫」より「犬」の方が用いられていたようです。「猫」に移っていったのは大正時代以降なのだとか。
個人的には、犬は猫より「人のために良く尽くす」「従順」「純真」といったイメージがあります。手を借りるなら犬の方が良さそうに思います。猫の手を借りても、かえってややこしくなるだけですね。(笑)
参考>>病気に備えて猫保険