猫は四六時中、毛づくろいをします。
前足に唾液を付けて顔を洗うしぐさは、私たち猫好きにはたまらないものがあります。誰から教わったわけでもないのに、片足を高く上げて器用に下半身の毛づくろいをするしぐさにも感心させられます。
猫はどうしてあんなに毛づくろいが好きなんでしょうか?その表の理由と裏の理由を解説します。
表の理由
猫が毛づくろいをする一番の理由は、なめることによって体を清潔に保つことです。食餌の汚れやゴミ、ホコリ、さらにはノミやダニなどの寄生虫やその糞尿などを取り除きます。
なめるといっても唾液を塗り付けているわけではなく、汚れを吸着させているのです。ですから、唾液はあまり毛にはつきません。
基本的に、猫が全身を毛づくろいするのは、食後や昼寝の前など、のんびりとリラックスして安心しているときです。
裏の理由
猫が全身ではなく、体の一部を「ちょこちょこ」なめるときは、何か嫌なことがあって「不安だな」「落ち着かないな」という気分をまぎらわせているときです。
例えば、他の同居猫とケンカになりそうなとき。立場の弱いほうの猫にとっては、たいへん緊迫した場面です。逃げ出して不安な気持ちを静めようと、ちょこちょこ毛づくろいをすることがあります。
うちの太郎は性格が優しくて、よく栗にイジメられます。太郎がお気に入りの場所で寝ていると、栗が容赦なく猫パンチでその場所を奪います。
太郎は平和主義なので、決してやり返そうとはせず、お気に入りの場所を栗に譲って他の場所に行きます。
行った先で、よくちょこちょこ毛づくろいをしています。太郎は太郎なりに腹が立っていて、その気持ちを静めているのでしょう。
飼い主に叱られたときも
飼い主が大きな声を出したり、怖い表情になったりして猫を叱ってしまうと、猫はいつもと違う飼い主の様子に不安を覚えて落ち着かなくなります。
そんなとき猫は、緊張感をほぐすという意味で、ちょこちょこ毛づくろいをすることがあります。さらに同様の理由であくびをしてしまう場合もあるのです。
決して飼い主をバカにしているわけではないので、誤解しないようにしましょう。
ちょこちょこと1か所を毛づくろいしているときは、猫は一生懸命に落ち着こうとしています。その間は、何もせずに静かにやらせてあげましょう。毛づくろいが終わったら、優しく接して安心させてあげたいものです。