猫を恐ろしい伝染病から守るために、ワクチン接種は大切です。しかし、ワクチンは毒性を弱めたとはいえ、ウイルスそのもの。
ワクチンを猫に接種することで起こり得る副作用についてもしっかり知識を持たなくてはいけません。その上で獣医師の指導のもとで細心の注意を払ってワクチン接種を行いましょう
ワクチン接種前の注意点
ワクチン接種の前夜は、特に飼い主は猫の体調を良く見ておく必要があります。下痢をしていたり、食欲がなかったり、何かしら体調に不安がある場合は、ワクチン接種を延期します。
また猫が高齢になって弱ってきたなと感じたら、これまで行ってきたワクチン接種にも注意が必要です。その辺りも担当の先生とよく相談してください。
当日は、前の夜または朝に出たウンチを病院に持参し、検便をしてもらいます。担当の先生に充分な事前検査をしてもらい、今ワクチンを接種しても大丈夫と判断された場合のみ接種を行います。
起こり得る副作用について
ワクチン接種によって起こり得る副作用に次のようなものがあります。
- 元気がなくなる
- 食欲がなくなる
- 注射箇所の部分的な炎症
- 嘔吐
- 顔周辺のむくみ
- 全身のかゆみ
上記の症状が24時間以内に収まるようであれば、許容できる範囲の副作用と考えることができます。以上が軽い副作用の場合です。
ワクチン接種の副作用で一番恐ろしいのは、アナフィラキシーショックと呼ばれる過激なアレルギー反応です。次の章で詳しく説明します。
一番恐ろしいアナフィラキシーショック
アナフィラキシーショックとは、体内に入ってきた異物(ワクチン=毒性を弱めたウイルス)に対し、猫の免疫機構が過剰に反応してしまい、逆に生命に危険を及ぼしてしまう現象です。呼吸困難、嘔吐、痙攣、血圧低下などの症状が見られるのが特徴です。0.01~0.05%程度の割合で発生すると推計されています。
アナフィラキシーショックが起きるのは、ワクチン接種後だいたい1時間以内です。早急に治療をしなければ猫が亡くなってしまうかもしれないので、ワクチンを接種する日は余裕を持って動物病院に行き、接種後1時間程度病院の待合室で猫の様子を観察し、問題がなければ帰宅するような流れがベストです。
しこりができるケース
ワクチンを打った場所にしこりができるケースがあります。よくワクチンに使われているアジュバント(添加剤)が原因だといわれますが、これだけが原因ではありません。
そもそも猫には、そのほかの薬や栄養剤などであっても注射されると、その場所にしこりができやすい動物という特性があります。ワクチン接種後にできるしこりは、炎症性肉芽腫(えんしょうせいにくがしゅ, ワクチン接種部位肉腫)と呼ばれるものです。接種した部位が炎症を起こして腫れ上がった状態になります。
同じ箇所に注射すると肉腫ができやすいという傾向があります。飼い主は、注射を打つ場所がなるべく重ならないよう、前回のワクチン注射を体のどの部位に打ったかを記憶・記録しておくようにします。
もし2~3週間たっても腫れが引かず、手で触知できるしこりが残っている場合は、ごくまれに肉腫(ガン)に変化することもありますので、獣医師に相談する必要があります。そうなると治療費も、かなりかかりそうですね。
参考>>病気に備えて猫保険