ペット保険のことを勉強していると、必然的に業界最大手であるアニコム損保の存在を知ります。そしてアニコム損保のことを調べていると、2014年に保険内容に大幅な改定があったこと、そして、多くの加入者が「改悪」だと激怒していることがわかってきます。
このアニコム損保の改定の顛末は、ペット保険選びを考える際に、大いに参考になります。それでは詳しく見ていきましょう。
アニコム損保の規約改定の詳細
アニコムはペット保険業界でトップのシェアを誇る最大手です。最大手になるということは、ペットの飼い主にとって、アニコムにはそれだけの魅力があった訳です。
それだけに、規約改定の反響は大きなものがありました。
もともとの保険内容
もともとアニコムは次に挙げる点が支持されて、多くの加入者を獲得してきました。
- 動物病院で治療費の窓口清算が可能(補償額を窓口で差し引いてもらえる)
- 終身継続可能
- 通院・入院の限度日数が無制限
- 契約後に発症した病気は免責なしで更新できる
- 保険利用回数・金額による継続時の影響なし
このような、優れた保険内容であったからこそ
- 契約可能年齢のいきなり下げ10歳→7歳
- 90%プラン廃止
- 各種割引廃止
- 度重なる値上げ
という度重なる改正でも、加入者は納得してきた、という経緯がありました。
加入者を激怒させた2014年11月の改定内容
問題の規約改定は次の通りです。
- 通院・入院の限度日数が1年間で20日まで
- 窓口清算ができるのは15回まで(治療費が少額なら面倒になって保険金を請求しないケースが続出)
- 健康割増引制度の導入
健康割増引制度とは過去の利用回数(通院1日、入院1日、手術1回をそれぞれ1回としてカウント)に応じて、次回更新時に保険料が変動する制度です。
0回なら10%割引き、1~5回なら5%割引き、20~39回で20%割増し、40回以上なら次回保険料は、なんと50%割増しになるのです!
加入者はどうしてここまで激怒したのか?
この改定はホームページのみにひっそり掲載されたそうです。加入者へ書面やメールでの連絡はいっさいありませんでした。
そして次のことが、はっきり記載されてあったそうです。(原文ママ)
「保険契約の始期日が2014年11月1日以降となる継続のご契約は、原則、新商品プランもしくは従来商品プラン(現在ご契約をいただいている商品プラン)よりご選択いただけます。」
ですから、加入者は従来プランが選べるならOK、問題ないと思ったそうです。
しかし、継続契約時、従来プランを拒否され、新プランを強制されるトラブルが続出。基準は明確にはされていませんが、保険利用料が多い、利用回数が多い、高齢のペットの場合はほぼ強制的に新プランに移行させられるそうです。イヤなら解約を迫られる・・・
解約と言われても、保険の利用が多い病気がちのペットや高齢のペットは、今さらどこのペット保険にも加入できません。「プラン変更が必須かどうか?」「継続が可能かどうか?」は満期案内までわからないのだそうです。
会社の説明は次のようなものでした。しかも掲示板です。
「契約者間の公平性を確保するため、個別のご契約ごとに、過去の保険金のご請求履歴やご加入期間等の諸般の事情を総合的に考慮した審査基準により、新プランをご提案させていただく、あるいはご契約のご継続をお断りする取り扱いを極めて限定的にさせていただいております。なお、審査基準につきましては非公開とさせていただいており、皆様へご案内いたしかねますことを、何とぞご理解賜りますようお願い申し上げます。」
この顛末から考える
アニコムの改定の話は私も酷いと思いました。消費者センターや金融庁に相談する加入者が続出しているとのことです。事前告知がなく、「だまされた感」が広がったのが炎上の原因ですね。
例えば、「慢性疾患の場合、今後も保険での負担が契約料金を大幅に上回ることが確定しているため、やむを得ず料金改定をさせて頂く、あるいは最悪の場合、更新をお断りする場合があります」と、正直に全ての加入者に書面やメールで伝えていれば、ここまで騒ぎが大きくなることもなかったのではないかと思う次第です。
このアニコム改定の顛末は、私たちがペット保険を選ぶ際に大いに参考になります。ペット保険には必ず一長一短があり、何でも補償してくれる完璧な保険など存在しません。結局、私たち飼い主が「何を重視して保険を選ぶか」が大切なのではないでしょうか?
【参考記事】
>>「ペットの治療費ってこんなに高額なの?10万、20万は当たり前。」
>>「愛猫の医療費に備える!ペット保険加入のメリット・デメリット」