飼い猫が自宅で出産しました。初産です。でも子猫の世話をしようとしません。へその緒や羊膜の処理を一切せず、ただ横にいるだけです。このままでは子猫が亡くなってしまうかもしれない・・・
このようなとき飼い主はどうすればいいのか、調べてみました。
普通は母猫が世話をする
陣痛が始まると、猫によって違いはありますが、だいたい20分から1時間くらいで出産が始まります。いきんでいるうちに子猫が産まれてきます。半透明の水風船に包まれているような感じです。
母猫は産まれてきた子猫の羊膜を口で破って、へその緒を噛みちぎり、体をきれいになめてあげます。子猫はその刺激で呼吸を始め、ピーピーっといった感じの鳴き声をあげながら、懸命に自分で動いて母猫のおっぱいを探し出して吸いつきます。
このように本能による母猫の世話を受けることによって、産まれてきた子猫はその命を保つことができるわけです。しかし、母猫がこれらの世話をまったくしないケースもたまにあります。
世話をしないケース
母猫が子猫の世話をしない原因はいろいろと考えられます。
まず飼い主が気をつけなければならないのは、産まれてきた子猫を安易に触ったり抱いたりしてはいけないということです。本来、母猫が行うべき「へその緒切り」や「胎子なめ」などを人間が妨害してしまった場合、まるでスイッチを切ったかのように、突然母猫が育児への興味を失ってしまうことがあります。
そればかりでなく、子猫に触られて怒ったり、危険を感じたりした母猫が、本能から子猫を食べるという悲しいケースもあるということを頭に入れておきましょう。
その他に考えられる原因としては、飼い主がそばにいるからと安心している場合や、最初はできていても数匹出産して体力を消耗して動けなくなってしまっている場合などもあります。
前述したように、安易に子猫に触るのは危険ですが、「育児放棄」を放っておくと新たな命がすぐ尽きてしまうことになります。このような場合は飼い主の手助けが必要になります。
どのような手助けをすればいいのか
まず清潔なタオルなどで羊膜ごと子猫をくるみ、母猫の顔のそばに連れていきます。子猫が羊膜から顔を出しているならオッパイも吸わせてみます。
こうすることによって母猫の母性本能が目覚める場合があります。それでも反応しない場合は、具体的なケアが必要になります。
次のような手助けが必要になります。
- 羊膜の処理
- へその緒の処理
- 呼吸の確認
- 人口授乳
- 体温維持
タオルや布でそっと子猫の表面を撫でると羊膜がはがれます。へその緒は、体から5cm辺りを木綿糸で縛って止血して、止血点よりも胎盤側(子猫の体ではない方)を清潔なハサミで切ります。鼻の周りをふいても泣かないようなら羊水が詰まって呼吸ができていない可能性が高いですので、軽く口を当てて飼い主が吸い出してあげると呼吸できるようになります。
体をある程度きれいに拭いたら、おっぱいの近くに下ろしてあげましょう。最初からおっぱいのところまで連れていくのではなく、子猫が自力で探して飲むように仕向けてあげるのです。また母猫の顔の近くに連れていって、できるだけ母猫が自分で世話をするように仕向けてあげましょう。
なお、胎盤もでてきますが、母猫が自分で食べる場合と食べない場合があります。どちらにしても母猫に任せて大丈夫です。
母猫がどうしても子猫の世話をしないということであれば、飼い主が人口授乳と体温保持をしてあげなくては子猫はすぐに亡くなってしまいます。
夜間で子猫用のミルクが入手できなければ、「100mlのお湯にスプーン1杯の砂糖」を溶かして、人肌に冷まします。それを、スポイトで一滴ずつ口に入れてあげます。(なければガーゼに含ませて口に入れます。)子猫は自力では体温維持ができないので、湯タンポで温めてあげます。ただし低温火傷をさせないように接触面はタオルなどで調整します。
このページのまとめ
出産のとき、基本的には飼い主が介入するべきではないのですが、母猫が世話をしないケースがあることは知っておかなくてはいけません。最低限、上記の準備をした上でつきそってあげてください。