猫を動物病院に連れていって診てもらうと、薬を処方されることも多くなります。薬の意味が分からない猫にとっては、飲まされるのは苦痛でしかないでしょう。
しかし飼い主としては猫が嫌がるからといって、飲ませない訳にはいきません。薬の上手な飲ませ方のコツをまとめました。
上手に薬を飲ませるための準備
猫に上手に薬を飲ませるための準備としては、まず猫をしっかり抑えつけること(保定と言います)が大切です。できれば抑えつけてくれる助手がいた方が楽です。助手がいる場合は、猫の両足をしっかり抑えてもらいましょう。
助手がいない場合は、バスタオルを活用します。バスタオルを猫の体にきつく巻きつけて、洗濯バサミなどでしっかり留めて動きを制限します。コツは首のところでしっかり留めることと、足がタオルから出ないようにすることです。
錠剤の飲ませ方
猫に錠剤を飲ませるときは、まず左手(利き手と反対の手)で猫の頭を後ろから掴むように持ち、上を向かせます。この時、猫の頬骨を持つとやり易いです。そして鼻が75℃ぐらいの角度になるように上に向けます。
次に右手(利き手)の親指と人差し指で薬を持ちます。薬を持ちながら、フリーな中指を猫の下の前歯に掛けて口をこじ開けます。猫の前歯は凄く小さいので、噛まれても痛くありません。
こじ開けたら、舌の付け根を狙って薬を垂直に落とします。投げ込むのではなく、垂直に落下させるイメージです。猫を上に向かせたまま固定しておく必要があります。
猫は舌の半分より奥に入ったものを出すことはできません。しばらく飲み込むまでは左手を離さず上を向かせ続けてください。空いた右手で猫の顎の下から首にかけて撫でてあげましょう。
投薬後は少量の水を飲ませてあげると胃までスムーズに薬が届きます。バターを舐めさせるのも胃に到達する時間を短縮する効果があります。
錠剤が食道に詰まってしまうと食道炎になる危険があります。投薬後は必ず水かバターを少量与えてください。
※猫に薬を与えるのは、誤嚥のリスクがあります。必ず信頼できる獣医師の指導のもとで行いましょう。
粉薬(散剤)の飲ませ方
粉薬を飲ませる場合、一番楽なのは餌に混ぜることです。いつもの餌の3分の1くらいに薬を混ぜて与え、食べ終わったら残りをあげます。食べてくれれば、これが一番楽な方法です。
もし食べてくれない、ということであれば粉薬を少量(0.5cc程度)の水に溶きます。あまり水が多いと飲むのが大変ですし、誤嚥(肺の方に液体が入ってしまう)する危険性も増えます。
与えるときはシリンジ(プラスチック製の注射器の筒。動物病院で入手可能)を使います。保定の仕方、上の向かせ方は錠剤のときと同じです。
シリンジを使って、口角(口の両わき)から歯と頬の隙間に流し込んであげます。イヤイヤして口を開かなくても、この口角からなら入れられます。
少しずつ、少しずつが基本です。焦らずゆっくり飲ませてあげましょう。錠剤と同様、しばらく上を向けたままにして確実に飲み込んだことを確認します。
せっかく薬で良くなる病気であっても投薬ができないことで、回復に向かわなければ意味がありません。なるべく猫のストレスにならないように、上手に薬を飲ませてあげたいものですね。