私たち消費者は、「国産の食品なら安全、外国産の食品は危険」という漠然としたイメージを持っていますよね。中国企業による期限切れ食肉偽装問題の、あのショッキングな映像などを見るとなおさらです。
キャットフードでも、「無添加国産」を謳った商品はたくさん販売されています。しかし「国産です! 無添加です!」とアピールするわりには、公開している情報が少ない商品も多いという現実もあります。
私たち飼い主は、「国産だから安全」といったイメージに踊らされるのではなく、ある程度「見る目」を持って、原材料と栄養バランスが良いキャットフードを選びたいものです。その中で猫に合うかどうか、また経済的に大丈夫かどうかを判断することが大切ですね。
国産でも粗悪な原料が使われている例
まず、AAFCO(アフコ・米国飼料検査官協会)のガイドラインに合わせた基準を設定した、ペットフード公正取引協議会の認定を受けているフードを選択するのが前提です。(パッケージに記載があるはずです。)
その上で、キャットフードの良し悪しは、パッケージに表示されている「原材料」を見るだけである程度わかります。原材料名は使用料の多い順に記載されています。穀類よりも肉類が最初に記載されているフードの方が程度の良いものになります。
分かりやすいように、ある国産ペットフードの原材料一覧を部分的に引用してみます。国産でも、粗悪な原料が使われていることが分かる例です。
- 穀類(小麦粉/とうもろこし/コーングルテンミール/脱脂米糖)
- 肉類(チキンミール/ミートミール/チキンパウダ)
- 油脂類(動物性油脂)
- 豆類(大豆ミール)
- 魚介類(フィッシュミール)
- ビートパルプ
- 着色料(食用黄色5号/食用赤色102号/食用赤色3号)
- 酸化防止剤(ローズマリー抽出物)
それでは1つ1つ見ていきましょう。
穀類
肉食動物である猫は穀物の消化吸収が苦手です。にもかかわらず、一番多く使われている理由はズバリ「コストの削減」です。「かさまし」をして原材料費を安く済ませるといった理由なのです。
ミートミール
「ミートミール」、「チキンミール」、あるいは「肉の副産物」、「家禽副産物粉」といった表示があれば、死んだ動物の肉や骨や内臓、糞尿、鶏の羽やクチバシなどが含まれている粗悪品の可能性があるということです。
「フィッシュミール」も、どのような魚のどのような部位なのかまったくわかりません。
ビートパルプ
ビートは甜菜(てんさい)、あるいはサトウダイコンとも呼ばれ、日本では北海道で栽培されている砂糖の原料になる作物です。ビートパルプとは、ビートから糖分を絞りだした後に残る繊維質の事です。
本来、ビートパルプは動物の健康のために役立つものなのですが、ペットフードに使用されているビートパルプは残念ながら粗悪品の場合がほとんどです。
動物性油脂(○○脂肪)
例えば「鶏肉脂肪」であれば「鶏肉から採れた脂肪」だとわかります。しかし、「動物性油脂」や「動物脂肪」といった表示の場合、一体何の動物から、どのように採った油脂、脂肪なのかが分かりません。驚くほどの粗悪な油脂や脂肪が原材料として使用されている場合もあるのです。
良質なペットフードであれば動物性油脂などのようにアバウトな表記ではなく、「鶏油」、「ラム精製油」など何の脂肪、油脂を使用しているのか分かるようになっています。
着色料、酸化防止剤
私は添加物が入っているから絶対駄目、などと言うつもりはありません。酸化防止剤の必要性は理解しています。
しかし、飼い主の気を引くためだけに使われている着色料は、猫のためにはできれば避けてあげたいものですね。
良質なキャットフードの原料とは?
比較しやすいように、良質なキャットフードの例として、カナガンキャットフードの原材料の表示を部分的に引用してみます。
- 乾燥チキン
- 骨抜きチキン生肉
- サツマイモ、ジャガイモ
- 鶏脂
- 乾燥全卵
- チキングレイビー
- サーモンオイル
- ミネラル
- ビタミン
- マンナンオリゴ糖
- フラクトオリゴ糖
- リンゴ
- ニンジン
- ホウレンソウ
- 海藻
ご覧のように、「ミートミール」や「動物性油脂」といったあいまいな表示は見られません。しっかりと原材料の名前が明記されているのが、お分かりいただけると思います。
このように原材料の表示を見ることである程度、そのキャットフードの良し悪しを判断することができます。「国産だから安心」というイメージは、イメージ通りでないフードも多いですから注意が必要ですね。
【参考記事】当事者になったつもりで、読んでみてください。
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