「ごはんもよく食べるし、お水もたくさん飲むし、鳴き声もすごく力強いの♪うちの子、まだまだ元気です!」
ちょっと待ってください!高齢猫なのにあまりにも元気すぎる、もしかして「不自然」ではありませんか?
「甲状腺機能亢進症」というホルモンの病気のお話です。
そもそもホルモンとは?
ホルモンとは、一言でいうと「体に指令を出す物質」です。成長、発情、糖の吸収、エネルギーの代謝など、ホルモンは体のさまざまな機能をコントロールするという大切な役割を担っています。
体内には多種多様なホルモンがあって、それぞれのホルモンが決まった役割を果たすことによって私たちの体は正常に保たれているのです。もちろんホルモンの働きは、人間においても猫においても同じです。
甲状腺は、甲状腺ホルモンを作り血液中に分泌する内分泌腺です。
甲状腺ホルモンは主に「代謝」をつかさどっています。「エネルギーを使う」「体温を上げる」「心臓の機能を高める」などの指令を出すホルモンです。
甲状腺機能亢進症とはどのような病気なのか
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺が暴走し甲状腺ホルモンが大量に放出される病気です。
甲状腺ホルモンは代謝をつかさどるホルモンです。つまり甲状腺機能亢進症とは、代謝が上がり過ぎてしまう病気なのです。
甲状腺ホルモンが体に、「もっと多くのエネルギーを使え!」「もっと体温を上げろ!」「もっと心臓を活発に動かせ!」と無理な指令を出し続けます。無理に無理を重ねて、最後は燃え尽きてしまう病気なのです。
初期の段階では「元気な感じ」にしか見えなくて病院に連れて行こうと思いません。
- 高齢なのに、活発で食欲が旺盛
- 大声でよく鳴く
- 水をたくさん飲み、おしっこをたくさん出す
しかし進行すると、「燃え尽きてしまった」症状が出てきます。
- 痩せてきた
- 食欲があまりない
- 元気があまりない
- 毛の光沢がなくなり、抜けたりする
- 下痢・嘔吐
放置していると、心臓・腎臓などの内臓に負担がかかり亡くなってしまうこともある怖い病気です。
10歳を超えた猫が、急に「よく遊ぶようになった」だとか、「よく食べるようになった」、「食べているのに痩せる」という場合は、充分にこの甲状腺機能亢進症が考えられます。
放置は絶対危険です。疑わしい症状が見られたら動物病院で検査をしてもらってください。
実は私自身が甲状腺機能亢進症なのです。
私事で恐縮なのですが、私自身7、8年まえの健康診断でこの甲状腺機能亢進症を指摘されました。それ以来、現在に至るまでずっと病院に通い続けています。
2ヶ月に1回血液検査を受けながら、「メルカゾール」という甲状腺ホルモンの分泌を抑える薬を服用し続けています。おかげで「疲れやすい」「食べているのに痩せる」といった症状は緩和されて、随分健康になったと思います。
猫の治療も私とまったく同じ治療が行われるはずです。早めに動物病院に連れていってあげてくださいね。
【参考記事】当事者になったつもりで、読んでみてください。
>>「ペットの治療費ってこんなに高額なの?10万、20万は当たり前。」
>>「猫の医療費に備える!ペット保険加入のメリット・デメリット」