外出をする猫は、外で他の猫と大きなケンカをして帰ってくることがあります。室内飼いでも、同居猫と仲が悪ければ大きなケンカをして傷を負ってしまうこともあります。
猫同士が本気でケンカをすると、文字通り命がけで後のことは考えないで激しく戦ってしまいます。その結末には大きな代償が残ることもしばしばです。
ケンカ傷は深刻!
猫のケンカ傷は引っかき傷なら目立つのですが、噛まれた傷は、ほとんどわかりません。怪しい場所の周辺をバリカンで毛を刈ってみて、やっとわかるかどうかといった感じです。
ですから多くの飼い主は、「ケンカしたのはわかっていたけど、ケガはしてないと思っていた」と言う訳です。
噛まれた傷はほとんど目立たないような傷なのですが、相手の猫の牙によって、ばい菌をしっかり体の中に植えつけられています。これはケンカした猫同士お互い様です。
傷を治療しないで放置すると多くの場合、1週間ほどかけて膿(うみ)が溜まります。発熱し、あまり動きたがらなくなり、食欲も落ちてグッタリします。
そして膿がやぶけて排出され、全身に回ったばい菌に打ち勝つ体力がある猫は回復に向かいますが、体力がない猫は敗血症になり、亡くなってしまうこともあります。
膿が溜まって、それが破けると思いもよらないくらいの大きな傷になります。猫がケンカしてケガをした場合は、放置せずできるだけ早く動物病院に連れていってあげてください。
猫エイズや白血病などの感染症のリスクもありますので血液検査を受けることも重要です。
治療の例
あるオス猫の治療例です。
数日前に喧嘩をして顔に傷を受けました。傷口がポッコリと大きく腫れあがり、中央の部分にあいた穴から赤黒い液体がじわじわしみ出している状態です。傷の穴は2個ですので、相手の猫と正面からやりあってできた傷のようです。
傷を触ってみると、やはりかなり痛いらしく嫌がります。麻酔が必要だと判断されました。麻酔で猫が眠っている間に処置をします。
壊死した皮膚の部分を切開すると、ドロドロっと赤黒い膿が大量に出てきました。膿を全部出して上で、患部をきれいに洗浄するという治療になります。
かなり深い傷でしたので、3週間分の抗生物質も処方されました。
治療費は?
動物病院の治療費は高額です。
あくまでも一例ですが、診察で3,000円、レントゲン5,000円、血液検査3,000円、抗生物質5,000円。麻酔が必要な処置を受けるのなら、この他に10,000円以上はかかると思います。
国民健康保険のような制度は猫にはありませんので、基本的に飼い主の全額負担になります。